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殿が谷戸庭園

きちこうのあおひからせしよべのあめ

桔梗の青光らせし昨夜の雨 


 今回初めて知ったのであるが、殿が谷戸庭園はJR国分寺駅のすぐ傍にある。
 今年はハンカチ王子、斉藤君の早実が甲子園を制覇し、現在学校がある、この国分寺がやたらと 持てはやされているようだ。
 ただし、改札を出たら、学校とは反対の方向に出なければ庭園には行けない。
 なんと、吟行の日は敬老週間とかで入場料は無料であった。
 入口の近くに大きな酔芙蓉があった。昨日咲いた花は濃い紅となり、日陰の咲き初めは白、少しずつ紅を掃いたように、 ピンク色が混じっているのなどが見られた。
いしぶみのひびのふかさやあきのかぜ


 碑の罅の深さや秋の風

 武蔵野の細き湧水小鳥来る
上記2句「伊吹嶺」2007,01伊吹集収載

 推敲のベンチに秋の蚊を払ふ

 都内の庭園は、三菱財閥の岩崎弥太郎が何らかの屋敷とした場所が多いが、この殿が谷戸庭園も 満鉄の副総裁江口定條氏から買い取って、茶室などを追加整備したものだそうだ。
 武蔵野の台地や崖線がそのまま残された珍しい庭園である。
 いろいろな野草もあり、本来はもっと楽しめるところだが、ちょうど夏から秋への花の端境期で 咲いているものは大変少なく残念であった。
 右は黄蓮華升麻(キレンゲショウマ)。黄色の蓮華升麻は始めて見た。 狐のかみそりもあったが、すでに半ば実となり、全てが倒れており写真としては使えなかった。
あずまやにたかきひびきやししおどし

 四阿に高き響きや鹿威し

 秋日差雑木林にまぶしかり

 蚊遣火や昼餉を解く縁の先

 蚊にもよく食われた吟行であった。また、名札が立っているのだが名前の不明な草木も多かった。
 例えばこの花には「セキヤノアキチョウジ」とあったが、それとは違う。お尋ねしていた、この花の名は、ユウパトリュウム と言うそうだ。後日町田ダリア園でプロに教えてもらった。日本の四季には、もう少し綺麗な画像を入れておいた。
 トップは秋の七草である。左から、桔梗、撫子、女郎花、藤袴、後ろに薄、萩、葛と植えられて いた。それぞれを見たい方は、日本の四季 でお調べ頂きたい。
 そんなわけで、写真はあまりないが、時期さえ間違えなければ、1年中吟行できる場所だと思った。
 なお、句会場は園内の紅葉亭が感じよい。使用料は4000円であった。
[了]
吟行2006,9,15

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