夏 その八

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河骨(こうほね)。季語 仲夏。
見たことはないが、水底の泥に横たわる根茎は、白骨のようだそうで、こんな名前が付いている。花は不釣り合いに太い 茎の上に一つ咲く。
神代水生植物園にて


 河骨の首は長きよ水かがみ
浅沙(あさざ)、花じゅんさい。 季語 仲夏。
6月頃から鮮黄色の花を水面に開く水草。神代水生植物園の花菖蒲の奥の沼に密生していた。

 水の隙少しもあらず花浅沙
茨の花、花茨、花うばら。 季語 夏
 棘がないように見えた。照り葉野茨のようであった。所謂蔓薔薇とは、何か趣が違う。近隣の畑の隅に咲いていた。
 上総では庭でもほっておくと生えてくる。棘がきついので、見つければ剪るが、土手などにあると綺麗だ。

 夜叉めくや疎水の闇の花うばら
卯の花、花卯木(はなうつぎ)、空木の花。 季語 夏
 以前棲んでいた横浜に黒須田川があった。今は宅地を流れる、あまりきれいとは言えぬどぶ川であるが、 空木が覆い、蛍が飛び交う田畑の用水であったのだろう。上総に来て、田園の小流れ沿いによく見かける。
下は上総の山里で詠んだ。

 卯の花や板張り粗き外厠     
16年伊吹嶺誌10月号遠峰集
小町草、蟲取撫子、蠅取撫子。季語 夏
 バラック建ての軒下にいろいろな花を咲かせていた。家人に花を摂らせてと頼むと、満面の笑みで「花が好きでね。」 と言う。野草に近い花ばかりであるが、花が好きなら持って行けと、摘んでくれた。昔小町のおばさんだった。

 あばら屋の軒端を埋む小町草
藪虱の花、季語 花を付けないと果実を表し秋である。
果実はトゲトゲで子供が衣服にぶつけ合って遊ぶ。金平糖みたいな実である。花はそんな大きな実が付くとは想像も付かぬほど 小さい。
三葉空木(みつばうつぎ)。季語 空木で夏か
空木は種類が多い。花も多様だ。
町田えびね苑にて。
宝鐸草(ほうちゃくそう)、狐の提灯。季語 初夏
我が家の庭もいつのまにかスズランが減って狐の提灯が幅をきかせるようになっていた。

 日照雨きて狐の提灯揺らしけり
          光晴

富貴草(ふっきそう)、吉字草(きちじそう)。季語 初夏。
近頃では4月になれば関東地方では結構咲いている。季語が夏とは思わなかった。でも夏の季語に相応しい、涼しげな花だ。

 筧鳴る禅師の庭や富貴草
          光晴

美女桜、花笠、バーベナ。クマツヅラ科。季語 晩夏。
南米原産の数種を交配してできた園芸品種。花や葉の変わり種が多いそうだ。これは横浜の「汽車道」の花壇に 植えられていた。

 汽車道やみなとに競ふ美女桜
          光晴

半夏生、半化粧。現在のところ無季。
半夏生とは、夏至から11日目を言う。7月2日頃になる。この頃半夏(カラスビシャク)と言う 毒草が生えるのでこう言うそうだ。関東では畑作の祝い日で夏の季語である。この半夏生も7月2日 頃花穂が伸び葉が白くなる。季語となってもおかしくない花である。

 鍬並ぶ農の庭先半夏生
          光晴

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