写真は写真の上でクリックすれば大きくなります。
戻るボタンで元に戻ります。
浜離宮(東京都中央区)



徳川の色変へぬ松三百年

 何遍か来て此の吟行地にも入れていたが、上手くバックアップ出来ていなくて消えてしまったようだ。
 後楽園などと同じ都立の八つの庭園公園の一つだ。
 元は徳川家の出城兼用の潮入の庭園であり、京都への船旅にもここで乗下船したようだ。今では 浅草行きの水上バスが定期便の途中停留所としている。
 潮入の池は広く、鰡などが良く跳ね、それを狙う水鳥や猫も多い。この日は大きなエイが泳いでおり、 びっくりした。

 象形の肌は蛇の髭生気満つ

 蛇の髭の象が踏みをり雁来紅

 全国都市緑化フェアーというイベントが開かれていた。
 第八代将軍徳川吉宗の時代にベトナムから贈られた象がこの庭園内で飼育されていたそうで、それに ちなみ象の人形が蛇の髭(龍の髭)で見事に造られていた。細い葉が濃淡を作り、生きているようで あった。

 高層のビルを背に初もみぢ

 木斛の爆ぜて鮮やか種の紅

 中島に釣殿形式のお茶屋がある。1707年以来あるそうで、将軍を初め、明治の貴族や外交官が 接待を受けたところ。現在は有料のお茶屋となっており、この日は世界一周船でも入ったのか、団体の 外国人が楽しそうに、お茶の作法のまねごとをしていた。
 この池が潮入の池であり、多くの水鳥がいたが、池は他に二つあり、右手奥に新錢座鴨場があり、 もう一つは左手海側に庚申堂鴨場という池があった。

 菊日和お薄を啜る外国人

 外つ国の人を癒せり鰡の跳ね

 これが新錢座鴨場の覗き穴。どちらも鷹や網を使う鴨猟場だが、正門から一番奥にあるので、見物客 も少なく、隠り沼の感がある。馬場の跡は此の近くにあった。また近くの広場では太極拳の愛好家 が練習をしていた。それでよいのか悪いのか、手足の動きはばらばらであった。句は一人に絞って 作ってみた。

 鴨見えぬ鴨場の穴の秋思かな

 秋天へ太極拳の腕伸ばす

 雑木林の中に鴨塚がある。狩猟対象の鴨の霊を慰めるためのもの。感謝の気持ちを忘れないのは うれしいことである。

 残る蚊に顔狙はるる鴨の塚

 馬場跡の広場胡桃の初紅葉

次へ