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飛騨高山と白川郷(岐阜県)





夏鳥の声透く飛騨の隠り里



高山陣屋

 俳句結社「伊吹嶺」の鍛錬会が2日間に渡って開催された。  関東組は前泊で出かけたが、所用もあり、私は当日新横浜朝6時発の一番列車で出かけた。
 雪を抱く朝富士を見て名古屋に着くと、高山行き「ひだ1号」は伊吹嶺の連衆でいっぱいであった。
 山藤と桐の花が綺麗な中山七里を過ぎ、高山着。鍛錬会はすべて当日の吟行句であるから、主宰初め連衆との挨拶も そこそこに陣屋から吟行を単独で開始した。
 以前にも何度か訪れているところなので、以前見た処 と違うところをと歩いたが、やはりほとんど同じ処を歩くこととなった。
 季節は違うので、俳句を中心に見て頂ければと思う。


   すかんぽや待避線にて上り待つ

   自在鉤揺るる陣屋の夏座敷

09伊吹嶺誌8月「伊吹集」収載句

   琴の音の洩るる陣屋や若葉風


   陣屋涼し上がり框の青海波
09伊吹嶺誌8月「伊吹集」収載句

   奥の間へ川風送る葭簾

   御白州の責具射したり夏の日矢

三之町と宮川朝市

 陣屋前朝市、宮川の中橋を渡り、旧高山町役場に行く。波打つガラス窓や唐破風造りが郷愁を誘う。
 上三之町と呼ばれる古い町並みは、出格子が続き、造り酒屋には大きな杉玉がぶらさがる。しだいに暑くなり、氷の 旗も揺れることもない。
 ここいらからまた連衆にぶつかることが多くなった。みんな句手帖と筆記具を持って何かしら覗き込んでいる。吟行中 の連衆はみんな若々しい。俳句の効用か、何か嬉しくなった。
 朝市も売り切って昼寝の婆も散見される。関東の仲間が恋しくなり携帯を掛けてみた。近くの蕎麦屋で推敲中とのこと。 私も昼食をすべく、この蕎麦屋に急いだ。
 第一回目の句会場にその後向かった。
 第二回目はホテルで食事の後に行われた。何とか名乗りを挙げることも出来、旧交も温めることが出来た。


   町役場の歪む玻璃戸や新樹光

   出格子や氷菓の旗の揺れもせず

   酒造家の錆びし杉玉燕の巣



   せせらぎを背に販げり夏野菜

   朝市を畳む夫婦や柳絮飛ぶ

   車夫の撮る写真は藤と人力車



   売切つて店(たな)に昼寝の朝市女
09伊吹嶺誌8月「伊吹集」収載句

   柳絮激しライスシャワーを浴ぶるごと

   太梁に天窓の日矢夏きざす

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