小田急線の柿生周辺は寺家ふるさと村や古墳群など歴史を感じさせるところが多くあり、由緒のある寺院も数が多いようである。そしてそれぞれが吟行したくなる何かが備わっている。
この王禅寺も、そんな寺の一つである。ただし、山門にはこの寺は観光寺ではありませんと立て札がある。綺麗な大きな花園があるわけでも広大な寺苑を有しているわけでもない。
山の下の旧参道は開発されて住宅街になっている。30メートル位の高さの山の頂上に古びた仁王門と本堂が杉林や竹藪の中に静かにあるだけである。
私がこの近くに越してきた頃、王禅寺という広い町名のあるのを知り、その近くの人何人かに王禅寺と謂うお寺はありますかと聞いてみたが、誰も知らなかった。昨年の花見時期に王禅寺ふるさと公園に行き、偶然公園の裏道に出てしまったところ、そこが王禅寺の側道であった。
王禅寺は宿星山王禅寺と謂う。この星が宿る山と言う言葉にまず惹かれた。開発の進まぬ昔はどんな寺であったろうかと思う。
また、大樹に囲まれてある仁王門は相当の歴史を感じさせている。
木下闇仁王は目玉むきにけり 光晴(2002,04) |