小布施
現在の小布施町は半径二キロにすべてが入る、長野県で一番小さな町だそうだ。先ほど松川沿いに下って
きたが、この松川が千曲川に合流する地点にある。
江戸中期の元禄時代から十五年ほど幕府直轄の天領であり、穏やかな町並みは今にそれを感じさせる。
そんなこともあってか、葛飾北斎や小林一茶などが良く訪れたそうで、将軍への献上品として有名な
小布施栗と共に今売出し中の観光都市である。
栗の竹風堂で栗おこわの昼食を済ませ、まず一茶が良く訪ねたと言う梅松寺を訪ねる。途中にまっ赤な
箒草や大きな枸橘の木があり金色の実が転がっていた。ここでは石神と言われる道祖神が辻辻にあり、紙
や木で作った男女の人形が添えられているのも風情があり、好もしかった。時間に制限があるので、これより
北斎を呼んだ豪商高井鴻山記念館、北斎館を急ぎ足で回り、陣屋跡に向かう。しかし、長い築地塀に挟まれた
小道と奥に小さな崩れかけた稲荷の祠があるばかりであった。
それでも一茶の忌日に近い日に由緒ある小布施のたたずまいを堪能できたと、感激した旅であった。
秋の日を浴びて静もる細格子
秋うらら一茶の小布施逍遙す