町田えびね苑

 町田えびね苑は(2)薬師池公園の南、鎌倉街道沿いに歩いて5分程度の場所にある。入り口はT字路の崖にあるので目立たない。
 入り口は躑躅で飾られていた。階段状の坂を上り始めると、周囲は紫陽花に囲まれてくる。まだ新芽が出たばかりで花は見られないが、ここの紫陽花も十分その時期には堪能させてくれることだろう。
 日当たりの良い踊り場に出ると、一本の大きな朴の樹が青空に広がっていた。少しの痛みもない朴葉の緑をたどって行くと、純白の牡丹のような花があった。
 食いしん坊の私は、15年ほども前の平湯温泉の朴葉味噌の味が思い出され酒、酒と咽がひくつく想いであった。車で来ている以上、映像に留め夜の肴とする。
 さらに木組みの階段を上り、券売所へ着く。
 躑躅と芝生の広場をぬけ、なだらかに下りつつ木漏れ日豊かな疎林へと標識に従い歩を進める。
 森林の香りに浸りながら左右を見て行くと、しだいにエビネが咲いているのが目に付いてくる。
 エビネの管理は難しいのか、日当たりが良すぎるのか、我が家にも昔父が好きでいろんな色のものがあったが、今では黄色のたぶんキエビネと言うのが2株咲くだけとなっている。
 このえびね苑には8種10万株のエビネが植えられているそうである。花壇にして植えられているのも見応えがあるが、木々の朽ち葉の中に1本、2本と咲いているエビネを探し見るのは大変楽しいものである。
 その上、九輪草、熊谷草、雪持草、ムサシアブミなどの珍しい花も観賞できた。日常の茶飯事を句にすることも難しいが、珍しいものを句にするのも難しい。単に自分の技量の問題とは思うが。
 他の俳人の句を読んだときの参考にもなるので、写真を載せて置きます。

町田えびね苑北入口 タカネエビネ
鎌倉街道に面した北入口。 タカネエビネ。町田の自生種は「えびね」だけとのこと。季語、春。
たぶん、ピンク色っぽいえびねのことか? ここには数種類のえびねが育成されている。
雪持草 九輪草
雪持草、雪餅草。仏焔苞の真ん中は、新雪の球か繭玉のようでピントも合わない感じです。
季語ではありませんでした。
九輪草。季語、夏。さくら草科、沢地に自生していた。
名の由来は五十塔の九輪に似ることから。
生の葉を揉んで腫れ物に付けたり、乾燥させた葉を煎じて飲めば利尿剤とも。
花筏の花 熊谷草
花筏(ミズキ科)。
不思議な木で葉の上に花が咲きます。全国の山にあるそうですが、気づきませんでした。俳句のお陰と思います。「春の季語」です。
熊谷草。季語、春。ラン科の花で、敦盛草「夏の季語」の平敦盛に対し熊谷直実の母衣に見立てての名だそうだ。「春の季語」


                最終吟行日 2003,05,01




     画像は他に俳句と写真の春、夏にもあります。


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