五千円札の富士

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富士が見えない本栖湖


富士五湖から白糸の滝へ

 今年はとにかく暑い日が続く。家にいてもボケッとするばかりなので、車で富士五湖に出かけてみた。
 今回は富士五湖を巡ることを目的とするのではなく、1000円札、5000円札、10000円札と11月には 新札が発行されるようだが、現5000円札の裏に描かれている富士山のポイントに行ってみようとしたのである。
 16号線で八王子まで行き、中央高速道に乗る。談合坂で軽い朝食を取り山中湖に向かった。このサービスエリアに 来るといつも業界の談合を思い出してしまうが、政財界癒着の談合などなしに必要な道路は速やかに整備し、あまり 必要の無いところには自然を残して欲しいものだ。
 一番俗化が進んでいる山中湖は素通りして河口湖に車を止めた。
 湖畔はわかさぎ釣りや水上スキーなどで賑わっていたが、心地よい初秋の風が ウラギクユウガギクが咲く花野をわたっていた。
 ここより西湖の北岸、精進湖を巡り目指す本栖湖入口に着いた。ここで12時を廻っていたので昼食として、山梨県 名物のほうとう(うどん)を食べた。普通のうどんを5,6本分幅を持たせたような麺で豊富な各種の野菜と豚肉を入れた 味噌煮込みである。外はまだまだ富士五湖周辺でも暑いが、冷房の効いた部屋での熱いほうとうはなかなか美味い ものであった。
 5000円札の富士山のポイントは本栖湖西岸にあった。非常に残念なことに、着いたときには富士は完全に厚い雲に隠れてしまって いた。つい先ほどまで顔が出ていたのだが、トップ写真の如き状態になってしまた。
 それでも左の5000円札と見比べて欲しい。同じ場所であることは判ると思う。上の写真の上の方に白い雲があると ころが富士山の頂上である。夏場の富士はだいたい雲が多く、なかなか片手間には良い被写体になってくれない。
 ここからの富士の画は新1000円札の裏にも桜の花と一緒にのるようではある。
 最近はあまりお目に掛からないが、500円札の裏にも富士が描かれている。これは山梨県の大菩薩峠からの眺めと、 確か言われていた。
 本栖湖は海抜902メートルにあり、水深は38メートルもあるそうで、富士五湖でもっとも深い湖だそうだ。
 このポイントをさらに左に回り込むと、10分もしないうちに佛光山本栖寺に着く。このお寺は禅宗の一派、臨済宗 だそうである。右はその座禅堂内部であるが、千人もの人が座禅を組めるそうで非常に大きい。
 その堂の中央には日本古来の寺院とは趣の違う仏像が並んでいた。そこで置かれていたパンフレットを読んでみると、ここは本山が 台湾の佛光山というお寺なのだそうだ。明るい感じの現代的なお寺であった。
 そしてこの寺の庭がまたお寺とは思えない景観であった。
 美術館の庭といった雰囲気で、大きなブロンズ像があちこちに配置されていた。
 誰の作かは判らぬが迫力のある立派な作品であった。
 天候は少々怪しくなってきたが、まだ時間はあるので、ぐるっと富士山を迂回して帰ることにした。
 139号線を海に向かって下り、朝霧高原の牧場によってお土産の牛乳など買い込んだ後で白糸の滝を覗いた。
 夏休みでもあり、駐車場は満員でかつ有料であったが、予想を上回る見応えのある滝であった。
   右の滝は、白糸の滝の手前にある滝で、「音止の滝」という。
なんでも仇討ちの曾我兄弟が密談中にあまり滝の音がうるさいので、黙れと言ったらしばらく静かになったのだとか。
 それはともかく、水量は豊かであり、落差も大きく虹が掛かっていた。
 下の2枚が「白糸の滝」で、本流の滝が一本と右にカーテンのような滝が広がっていた。
 富士宮市のホームページによれば、高さ20メートル、幅200メートルに及ぶとあった。滝壺の間近まで行けるので 十分マイナスイオンを補給してきた。

 ここから富士山の中腹の高原を抜けて御殿場に出た。この間は初めての道であったが、もう周囲は秋の気配が充ち満ちて いた。東名高速は帰省からの戻りの車で結構混んではいたが、一頃のように何十分も動かないと言うようなこともなく、 横浜に帰り着いた。
 忍野八海や箱根とは道筋ではあるが、すべてを日帰りで回ることは無理がある。いずれまた機会を見てそれぞれの項に 加筆が出来ればと思っている。


夏雲や富士山見ゆるはずの湖

行楽地の寺苑に灼くる裸夫の像  

富士の湖野菊の花と深き藍
           光晴




五千円札の富士  完
(2004,08)


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