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続本郷界隈 (春)

東京大学

 4月4日、とてもこの日までは持つまいと思われた花の下で俳句結社「伊吹嶺」の東京吟行会が 開催された。
 遠くは宝塚から、23名が東大赤門前に集合。構内の吟行から始まった。  三四郎池は芽柳と桜。ものの芽や青木の花山吹 などが咲き競っていた。
 剣道場の前の楓は芽楓よりは若楓と言った方が適切な青さとなって窓に映えていた。窓やベランダに 稽古着が重そうに干されていた。
 ここを抜けると東大病院にぶつかる。東大では、この辺りがお花見のメッカである。通りがかりの車や、散歩の親子それに 入院患者だろうか、車椅子の人などが桜を見上げていた。


   スリッパで花人となる車椅子

   芽かえでの窓に干さるる剣道着

   彫深き青邨句碑や花のひえ

 山口青邨の句碑は三四郎池上部の皐の植込みにあった。
 皐も燃えるような赤い蕾を明日開いても良いような感じで付けていた。銀杏の句は自然石に しっかりと刻まれていた。  赤門に沿って1本ある八重桜もちょうど見頃であった。
 赤門を出て本郷通りを横切ると、隣が一葉の家であったという法真寺がある。
 紅白咲き分けの桃の花 が満開であった。源平桃と言う花桃だそうだ。
 本堂の横には、銅製の露座仏、腰衣観音がある。どうも謂われは、一葉の「ゆく雲」に腰ころもの 観音、濡れ仏様とあるところからの命名か?
 昔の下宿街であった本郷の諸葛菜咲く 路地裏をしばし歩くと菊坂に出る。
 一葉ゆかりの質屋にも、旧居のポンプ井戸にも春の優しい日が注いでいた。
 いつも質蔵ばかりに注目していたが、今回はその居住区部分を見た。最近では見かけなくなったが 立派な木造家屋だ。

法真寺と菊坂



   露座仏の肩に昼の日ももの花

   本郷の下宿屋の路地諸葛菜

   木格子が囲む質屋や春日差す

 我々関東に住むものに取っては、良く行く吟行地であり、なかなか新しいものを発見することが 難しいが、遠路こられた伊吹嶺連衆は佳句を多く拾われたようで、良かった。
 ただ句会が終わって帰る頃、春雷に見舞われさらに強烈なみぞれも一時的ではあったが降り、 驚かされた。

初秋の菊坂



   夕顔へ夕日の届く路地の奥

   崖下の路地の長屋に水引草

   秋日差す湯屋の鍵付き下足箱

2008伊吹嶺1月号「伊吹集」収載

[了]
吟行2007、4、4
「初秋の菊坂」は吟行2007,09,10

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