ぼんぼり祭と黒地蔵盆

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  提灯にいよよ暗めり地蔵盆

ぼんぼり祭

 8月9日鎌倉鶴岡八幡宮のぼんぼり祭と深夜0時から始まる覚園寺の黒地蔵盆ならびに杉本寺の同じく真夜中の地蔵盆 を梯子して見てきた。
 ぼんぼり祭は鎌倉ペンクラブの発案で昭和13年に出来たものだそうで、夏越・立秋・実朝祭と続く8月6日から9日 に掛けて、参道に鎌倉縁の文化人や有名人に書画を書いて貰ったものを灯を入れて見せるもので鎌倉納涼の風物の一つ である。
 実朝の忌日は陰暦1月27日であるがこの9日が祀り日だそうで、舞殿では柏木みどりのジャズダンスが奉納されて いた。舞殿で見るジャズダンスは異様であった。
 9時でぼんぼりの灯は落とされるため、2時間ほどは駅前に戻り、酒場で過ごした。
ぼんぼりのしょくのまたたきとうすずし

   虫の音やぼんぼり奉る磴の陰

   ぼんぼりの燭の瞬き磴涼し

   舞殿に裸踊りや秋暑し

まいどのにはだかおどりやあきあつし むしのねやぼんぼりまつるとうのかげ

黒地蔵の覚園寺と鎌倉最古の杉本寺

りょうあらたえこうばしらのごしきぎれ  アルコールの入った身には少々の坂ではあるが、意外といつまで経っても暗闇で結構辛かった。
 山門を潜り境内に入ると呆れるほどの人の波であった。あちこちの堂からは読経の声が押し寄せ、台風が近づき湿気を 含んだ僅かな風に香煙が漂っていた。
 昼では味わえない、霊験を感じる時であった。しかし、本堂内部はすべて撮影禁止。外は蝋燭の灯こそ、所々に 立っているが、光源の役にはあまりに乏しく少なかった。
 黒地蔵の謂われは、このお地蔵が業火に焼かれる罪人の苦しみを和らげようと、地獄の番人に代わり火焚きを行い、 そのため焼け焦げてしまった。人々が何度きれいに削ってもあくる日には黒こげになっていたと言う話から来ている。
 また、同寺の千体地蔵は黒地蔵の分身で、願掛けが成就したときには、色を塗るのだそうだ。
 その他、愛染明王坐像、木彫りの薬師三尊など貴重な仏像があった。
 また、杉本寺は鎌倉最古の寺で平安初期の734年建立。板東観音霊場の第一番札所で、ご本尊は十一面観音である。
 こちらは本日が四万六千日詣の初日にあたり、本堂の中や寄せ墓など参拝して帰途についた。
じぞうえのおおじゅずたぐるうでしろき

   暗闇の磴躙りたり地蔵盆

   地蔵会の大数珠手繰る腕白き

   月天心藁葺屋根の薬師堂



   涼新た回向柱の五色布

   地蔵会の磴に小さき灯ちちろ鳴く

   香煙に月影青し地蔵堂



   地蔵会の山門に鳴く夜の蝉

   地蔵盆闇に奉納旗靡く

   寄せ墓に影揺らしたる盆の燭



[了]
吟行2009,08,10


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