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琴平神社の夏越(神奈川県川崎市)

しらぎぬのねぎはちのじにちのわかな

白衣の禰宜八の字に茅の輪かな

 武州柿生の琴平神社は、徳川二代将軍秀忠の正室のために祈祷所として建立されたのが最初らしい。
 当時この辺りは、御台所のお化粧料としての天領地であったからだろう。
 残念なことに昨年六月、放火に遇い貴重な本殿を焼失してしまったが、古式に則った行事が行われている。
 この夏越(なごし)の大祓えは毎年六月末日に行われる、農民にとっては重要な儀式の一つであった。
 自分の名前を書いてこれからの半年の無病息災を願う形代は、川に近い神社では川に流すのだが、ここ琴平神社では 篝火にくべて、煙として空に返していた。
 お年寄りから、よちよち歩きの幼児まで3代の氏子衆が大勢詰めていた。
かげりなきけっかいにまうなつのちょう

   幼の手浄むる巫女や夏祓

   祓え待つ氏子黙然汗ばめり

   翳りなき結界に舞ふ夏の蝶
08伊吹嶺10月号「伊吹集」収載


きりぬさにこうべをたるるなごしかな

   切り幣に頭を垂るる夏越かな

   普段着で氏子の潜る大茅の輪

   形代をくぶる篝や炎(ほむら)立つ

かたしろをくぶるかがりやほむらたつ


   形代を煙に流し夏越終ふ


   夏祓お神酒一滴受けて終ふ

 一滴のお神酒を頂戴し、門口に飾りなさいと直径10センチほどの茅の輪を頂戴して今年の夏越の祓は終わった。
 お神酒に濡れた口は、もう少しアルコールを要求していたので、店のありそうな方向に歩いた。しかし大間違いで、 明るい内から開いている場所は1つもなかった。何とバスの停留所も見つからず、大弱りの体で家路に就いた。
[了]
吟行2008,06,30

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