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柴又から矢切の渡し



夏草や金属バットの音高し 


柴又帝釈天

 昨日までの雨はきれいに上がり、柴又駅の寅さんのブロンズ像は日照の少ない6月の太陽に暖まっていた。
 俳句吟行同好の士14名が集っての吟行となったが、梅雨の晴れ間となり一安心。さらに嬉しいことに、この会の初期 のメンバーが顔を見せてくれた。
 お一人は、先約があるとのことで、柴又名物の草団子をいっぱい差し入れて下さり、挨拶だけでお帰りになったが、 「男はつらいよ」のさくらのような気持ちやさしいお方である。
 駅から帝釈天までの参道は200メートルと短いが、草団子の高木屋初め土産物屋が映画のセットの街並みのように 煤けた店構えを見せている。
 土曜日の所為か、参道は大変な賑わい。団子の串を頬張っている人もかなりいる。真似をしたくなり、140円を出し、 先ずは賽銭代わりに、草団子を一串買って見世を冷やかしながら山門を潜った。


 柴又や寅さん像の服熱し

 アロハ着て参詣道に団子食ぶ

 初夏の水かけ菩薩賑はえり

 山門や鐘楼も大変どっしりとした荘厳なものだ。御手洗のそばに、石の菩薩があり、水を掛けては束子でこすっている。 次から次へと、皆こする。
 聞いてみると洗淨菩薩と言うそうで、御賓頭盧さんと同じで、自分の悪いところをこすると御利益があるそうだ。
 この帝釈天は、彫刻寺とも言われ、帝釈堂は総欅造りで、外壁は一枚板の欅板に法華経説話が見事に彫り込まれていた。
 幅2,27M縦1,27Mあるとのことである。
 とにかく、いたるところに立派な木彫りが施されている。
昭和4年の完成だそうだが、火事を起こすことなく保存したいお寺である。
 帝釈堂から渡り廊下を渡って、本堂客殿さらに回廊となって、これは静かな庭園を巡っている。
 客殿の部屋には、大南天の床柱がある。樹齢1500年以上と伝えられているそうで、なんとなく黴っぽく見える柱で あった。
 庭は真ん中に池を配置し造り滝の音が逆に静けさをましている。やせ猫がゆっくりとその景の中を過ぎていった。
 入園券を渡す小母さんは、渦巻き蚊取り線香を手元に置いており、その香がなんとなく懐かしかった。


 瀧飛沫浴びて痩猫過ぎりけり

 回廊に藤蔓伸びる入梅まへ

 拝観料受くる堂守蚊遣り焚く

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