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築地中央魚市場(東京都中央区)



秋風や巨船鎮もる築地河岸

 月遅れ盆の前日の上に、10時半に吟行を開始したので、テレビなどで知る築地の活気は憶測するしかなかったが、 それでも俳句仲間の仲買の方に市場の中を説明付きで案内して頂き、効率よく市場にもそれほど迷惑を掛けずに見学出来た。
 閑散な日とは言っても、ターレ(市場内を魚箱など積んで移動する乗り物、ひだりの写真の真ん中)が行き交い、どけどけ と注意されてしまう。
 近頃はトラックが主流となって船着き場は何もないかと思ったが、大きな冷凍船であろうか、数艘が舫われていた。
 もちろん糶は終わっていたが、外にはまぐろを入れてきた大きな空箱が積み上げられていた。あたかも寝棺のようであり、 ドキッとする風景であった。
 市場のすぐ横に家康の時代からという、波除稲荷がある。この辺りは全く木のないところだが、わずかにここは大きな 公孫樹を始め木々がある。赤とんぼもいた。
 数日前にお祭りは終わったそうだが、大きな獅子の頭が部屋いっぱいに飾ってあった。


   大鱧の眼鋭く売られをり
08伊吹嶺誌11月「伊吹集」収載

   秋暑しターレ行き交ふ魚市場

   売られゆく大魚の眼秋灯し



   糶終へし首の手拭い汗まみれ

   秋日濃し河岸に鮪の空木箱

   糶終へし市の暗みに秋の蝶
08伊吹嶺誌11月「伊吹集」収載



   獅子殿を占むる秋暑の獅子頭

   青錆びし稲荷の千木や赤とんぼ

   雲厚き魚河岸の空秋つばめ



[了]
吟行2008,8,12

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