房総のむら
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打水や商家の軒の藍暖簾 (2004,08)
「房総のむら」は千葉県立の体験博物館である。
房総の伝統的な生活様式や技術をここで体験したり、原始・古代に至る県内の出土品や士農工商の収蔵物などを見学
できる、屋外型博物館だ。
広大な丘陵地に円墳、方墳、前方後円墳などが点在しており、この敷地に江戸時代の商家の町並みを再現したり、
古い農家などが移築保存されたりしている。
上の写真の右から、めし屋、蕎麦屋、小間物屋、呉服屋と並んでいる。そしてそれぞれの店で実演や、蕎麦打ちなどの
体験が出来るようになっていた。
その先に土蔵の海鼠壁のよに見えるのが右の酒問屋である。杉玉はその歳の新酒が出来た目印に吊られたものだそうだ。
これは、この地方だけの習慣ではない。各地で見られる。しかし私にはのどかな良い景色であり、いつも、注目して
しまう。
杉玉の揺るる商家や門涼し
(2004,08)
さらに、瀬戸物屋や魚屋などが並んでいた。
上の写真の左手に見える家並みには、瓦版屋、畳屋、鍛冶屋などが見える。
これは細工屋の店先だ。展示品は売り物ではなく、ここも二階で何か教えてくれて、自分で作品を作ることのようで
あった。
時間があれば、これらの体験エリアで粘土など捏ねてみるのも楽しいことであろう。この家並みを過ぎるとそのまま
木陰径に入る。木槿や草木瓜の実をみつけたり、溝萩の揺れを楽しんでいると大きな鬼やんまが足もとを掠めていった。
良い香りのする木が咲いていた。臭木である。幹は薬品臭があると、こんな名が付いているが花は香りが良い。写真は
「俳句と写真」秋、夏に溝萩や綿の花、蕎麦の花、藍の花、ハブリウ、とろ葵などと載せた。
しばらく歩くと武家屋敷に出る。金沢の武家屋敷と違い、小型で粗末な造りであり、半農半武の生活であったのでは
ないかと思った。旱の庭を蟻が懸命に動いていた。
再現農家の前は畑になっており、作物や花の珍しいものが植えられていた。その一つがこの越瓜(しろうり)である。その他にも粟や
綿の木など、ゆっくり見ればカメラに納めたいものだらけであった。
この農家は上総の名主の家とのことだが、先ほどの武士の居と比べると、すでに江戸末期には農民の方が力を持って
いたことが判る。
今回は時間がなくて廻ることは出来なかったが、重要文化財に指定されている古民家とか、点在する古墳群や埴輪など
の資料館なども機会を見て行ってみたいところだ。
ただ交通の便はまだまだである。成田線は名前は国際線みたいだが、単線である。安食(あじき)駅で降りてバスに
乗るのだが、これも本数が非常に少ない。電車利用の場合は十分に行き帰りの便を調べておく必要がある。車は東関東道
を成田インターで降り、成田市街へ直進約10Kmとのことであった。
武家屋敷働き蟻のひた走る
鬼やんま膝の高さを掠めたり
越瓜や捨て置かれたる二番成
ジェット機の爆音高き辱暑かな
青栗や風吹き抜くる泥の道
夏帽の高声多きローカル線 光晴
最終吟行日2004,08,13
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