幕張海浜公園
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立ち泳ぐ亀ゐる池や燕子花
現役時代、幕張メッセには仕事の関係で何遍か訪れたことがあった。また、その奥に今パリーグ首位のロッテの ホームグランドがあることも知ってはいた。
しかし、その隣接地にこのような気持ちの良い海浜公園があるとは思いも寄らなかった。
今回句友に誘われて出かけ、何枚かの写真と幾つかの句を拾うことが出来た。
地下鉄有楽町線を終点の新木場で降りて、JR京葉線快速で海浜幕張に向かった。
途中、新木場の駅からは梅雨曇りの空に大きな発電用の風車がゆっくりと回っているのが望見できた。
また海浜幕張駅のコンコースには燕が巣を作っており、頻繁に餌を運んでいた。
おほどかな風車回れり梅雨の空
燕の子親の戻りて口と化す
駅前の商業地を過ぎるとすぐクローバ(うまごやし)に覆われた広場に出る。
一本の泰山木が大きな花を付けていた。写真は満開の花を撮ったが、その上にはすでに茶色く変色した花も見られ、 そちらの方に句趣をそそられた。
広場には何組かの若いお母さん達が小さな子を遊ばせていた。広場の休息所はとんぼの止まった麦藁帽に象られて、 いかにも夏らしい雰囲気を醸し出し、我が心を浮き立たせてくれた。
モダンビル泰山木の花錆びる
苜蓿いとけなき子に母笑ふ
ここからは珊瑚樹や椎の花咲く林間の小径となる。下草には蛍袋や釣鐘人参、擬宝珠などを見ることができた。
このあたり、額の花は白が多く、木漏れ日に輝いて一際あざやかに思えた。
この森の中にトップ写真の日本庭園「見浜園」がある。今回の句会場もその中の茶席「松籟亭」であるが、まづは 海岸まで出ることとした。
この頃になると空は完全な夏空になり、海風で汗を干したい状況であった。
木漏れ日や白色著き額の花
この公園には下の道と立体交差する2本の橋が架かっている。夾竹桃の花咲く道をジョギングの人が走っていた。
近代的な高層ビルの建つ幕張には、この公園はなくてはならぬ存在となるだろう。
緑の空間がコンクリートジャングルに住む人間の心を海と相まって綺麗にしてくれる。
ジョギングや夾竹桃の続く道
黴雨の海ばうと見えるは発電所
定かではないが水平線の彼方に、かすかに久里浜の火力発電所らしきものが見える。
東京湾にはこの日もたくさんの船影が行き来していた。
海はのどかで良い。またもやもっと海に近いところに居を起きたいと痛切に思った。
さわやかな風に吹かれながら昼食のトンカツ弁当を平らげ、日本庭園の見浜園に戻った。
蓮池の蓮も大きな蕾が色づき始めていた。葉陰の葉の上には昨晩の雨の名残かきれいな水玉が光っていた。写真にもよく見れば見ることができる。
中心の大きな池には亀や鯉が泳ぎ、池畔は紫陽花や杜若が見事に大輪を誇っていた。
築山の上の四阿(あづまや)からの眺めも満足できるものであったが、先客があり早々と退散した。
その築山の芝生の上には無数の捩花が咲いていた。
梅雨晴間蓮葉に光る玉のあり
捩花や四阿の陰二人連れ
句会は上記の句から5句提出して、なんとか無事終了、例によって帰りは駅の近くでジョッキをぶつけ合って歓談、 なごりを惜しみつつ帰途に着いた。
(了)
最終吟行日2005,06,18
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