さらに池畔を回れば箱根卯木の花(下の花の写真)が見事に咲いている場所に出る。雑草とはいえ、 姫女苑や羊蹄花(ぎしぎし)、かやつり草なども見て楽しい。「俳句と写真」夏に載せておいたので見て欲しい。
 木下闇に馬の銅像がある。
 この馬は「池月」と言うそうだ。平家物語に詳しい人なら源頼朝の馬であることをご存じであろう。
 頼朝の軍が鎌倉へ向かう途中、洗足池近くの八幡丸の丘に宿営した際、月夜に何処からか一頭の野馬が現れた。 家来たちが捉えて頼朝に献上したが、その馬のいななく声は天地を震わせ、 馬体はたくましく、その青毛は池に映る 月光のように美しかった。故にその馬を「池月」と命名した。その後「池月」は、寿永3年(1184)宇治川の合戦で、 馬込の産といわれる磨墨とともに先陣を争い、一番乗りを果たしたという名馬である。
 そしてこの馬が現れた時の声の凛々しさ・美しさに頼朝以下皆のものが感動し志気が大いに上がったといはれており、 此の故事からここの八幡神社を旗上げ八幡と言うそうだ。
この洗足池にこれほどの歴史に纏わる面白い話があろうとは思いも寄らなかった。俳句を志したお陰である。


 夏浅し八幡様の神楽殿

 散策の歩を止むべし花卯木


 洗足池に足を向けたお陰で、池上本門寺にも行ってみたくなった。日盛りで少々暑くなっていたが池上線で池上に 向かった。

池上本門寺

 池上駅から門前商店街を10分程歩くと本門寺の急な磴道が現れる。一瞬上るのを躊躇したが、ゆっくりと登り始めた。
 上に行くに従って、椎の花の香りが強くなり涼しさを感じた。登り切ると大きな仁王門が聳えていた。
 残念なことに大堂(祖師堂)は瓦の葺き替えか工事中で青いシートが張られていた。
 左手には除夜の鐘の中継でお馴染みの大きな鐘楼があった。
 右手奥の墓所の入口には、これまた重要文化財の立派な五重塔がそびえ立つ。
 まだ蝉は鳴かず、静寂なたたずまいの中に時折時鳥や鶯の声が聞こえていた。
 ここに来て始めて知ったのであるが、池上本門寺は、日蓮聖人が今から約七百十数年前の弘安5年(1282) 61歳で入滅された霊跡でった。日蓮聖人の小説も幾つか読んでいるはずだが、常陸の国にまで行けずに池上宗仲の館で 入滅してしまったのだ。
知らなかった。


 石積みの磴道長し椎の花

 風薫る眉毛の太き日蓮像


 五重塔の奥に広大な墓所がある。
 これまた始めて知ったことであるが、あの我々を熱中させたプロレスの力道山の墓所があった。
 力道山らしく派手な大きな墓であるが、当時のフアンとしては偶然ではあるがお参りできて嬉しかった。

 力道山の大きな墓や不如帰



さらに大堂の奥に進めば立派な庭園があるとのことであったが、だいぶ足も痛くなり引き上げることとした。
 賽銭代わりに本門寺名物のくず餅を買って帰途に着いた。
 下の写真は仁王門である。本門寺では三門と呼ぶようだ。

最終吟行日2005,05,25





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