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野分晴水漬き激しき舫ひ舟
三渓園
三渓園は自分が住んでいる横浜市にあることからも、何度も吟行している庭園である。
特に秋には、妻がお茶会で園の白雲邸などをお茶席として利用するため、毎年訪問している。
それなのにホームページには迂闊にもアップしていなかった。当然最初の頃に載せたとばかり思いこんでいた。
今回アップするにつき、春や夏の写真や句を出してみたが天気がいまいちだったり、俳句がいまにだったりで以前の ものを載せるのは諦めた。
だからと言って素敵な俳句や写真が拾えたわけではないが、「私の吟行地」である以上外すわけにはいかない。
さいわい、前日までの前線を巻き込んだ低気圧も去り、気分の良い天候で一人吟行を楽しんだ。
真似てみる太極拳や日日草
秋深し見つめる浮子の動かざり
薄日差す茶亭の縁や杜鵑草
三渓園は、明治の生糸貿易で財をなした、原三渓が日本の古い建物などを移築して広大な庭園としたものである。
この日は、妻のお茶席の用意があるため、8時前に到着した。しかし、関係者以外は9時入園である。
南門にある駐車場は、それ以前から止めることが出来るので、車をそちらに廻す。ここの景色も剥きだしの断層や少々荒れた景色がなかなかである。
南門前には、中国友好庭園があり、その池で鮒を釣っている人がいた。こちらも時間があるので、ずいぶん一緒にウキ を見ていたが、どのウキも全く動かなかった。
庭園には、日日草、マリーゴールド、ブルーサルビアなど綺麗に咲いていた。日日草は朝咲いて夕べに散る花だ。 見ている内に、毎日新しい花の気持ちで、嫌なことは忘れ新たな元気を持たねばと思った。
女郎蜘蛛悲恋の横笛庵の梁
朝顔や竹垣の縄緩びゐし
ささ濁る池掠めたり秋の蝶
写真の藁屋は白川郷から移築した、豪農の家。中には大きな陶器や漆器の立派な物が展示されている。
煙は開園間もないため、囲炉裏に薪をくべているためである。香がなんとも懐かしかった。
上の庵は、横笛庵と称し、建礼門院に仕えた横笛が滝口入道時頼から送られた千束の恋文で作った己の像が安置されて いた。第2次大戦で失われたと記されていた。
故事を知って蜘蛛の巣や朝顔をみると、それなりに感慨深いものがあった。
三重塔の近くの一番高いところにあるのが、松風閣で上のように富士山が綺麗に見える。左手を見れば横浜の海だ。
現在はともにコンビナート越でなければ見られない。画家や文士が多く泊まったとこだそうだ。
青空へ寺の蓮の実跳び尽くす
登高やコンビナートの海光る
’07伊吹嶺2月号「伊吹集」収載
三渓園には、鎌倉東慶寺の旧仏殿や旧燈明寺本堂など歴史的建造物も多い。
すでに蓮沼は実を飛び尽くしていた。まもなくまだ青い葉も茶色く枯れて沈んでしまうだろう。
また、季節を変えて紹介して行きたい。
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最終吟行2006,10,08
2007年秋を追加するにあたり、句は推敲したものがあります。