写真は写真の上でクリックすれば大きくなります。
戻るボタンで元に戻ります。

2007年秋(三渓園)

 今年もライオンズ主催のお茶会があり、三渓園に出かけた。
 朝のうちは曇っていたが、晴れ間も見える天気となって、お茶会参加の人々も賑やかに散策を 楽しんでいた。
 まずは人気のない三重塔を目指し、歩くたびにどんぐりを潰しながらの登高となった。
 なんと途中の出世観音には、これをご縁にの意味か、五円玉が一つ置かれていた。
 三渓園で一番高い処の松風閣まで来ると、静かな園内が嘘のように、横浜の雑踏が聞こえて来る。
 改めて森に囲まれた園の静寂が貴重なものと思われた。
 そんなことを思いつつ、茂みを見ていたら何か動く。ここは猫が多いところなので猫かと思ったら 出てきたのは、まるまると肥えた狸であった。今頃仔を孕むのであろうか?


   どんぐりを踏みしめ磴を上りけり

   観音の膝の手にあり五円玉

   登高や森越えて来る都会の音



   爽籟や三重塔の影青し

   大狸出でて零せり萩の花

   虚子句碑に叢萩寄つて零れをり



   秋冷や鴨が羽根干す舫船

   萩の枝に翅休めをり渡り蝶

   秋翳や翅を傷めし渡り蝶


 茶店でおろし団子を頬張り、虚子の「鴨の嘴よりたらたらと春の泥」を鑑賞。本日の鴨は全て舟の 上でのんびりとしていた。
 今回驚いたのは関東地方で初めて、渡りをする蝶として有名な「アサギマダラ」を見たことであった。
 宮城県でも発見されたことはあるようだが、実際にお目に掛かったのは、西表島以来だった。
 すでに、翅は相当に傷んでおり、無事に南国までたどり着けるか心配であった。
 もっと探せば他にもいたのかも知れないが、無事の旅路を祈りたい。
 今回の三渓園を終わる。
[了]
最終吟行2007,10,14
頭へ
新新「私の吟行地」目次へ
新「俳句とカメラで綴るムーさんの歳時記」へ
俳句とカメラで綴るムーさんの歳時記(トップ)へ