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田谷山瑜伽洞(横浜市栄区)
森に聞く秋の蝉声雲迅やし
田谷山瑜伽洞
大船駅より戸塚駅行きのバスで20分ほどのところの洞窟前停留所下車。目の前に真言宗定泉寺がある。
ここに鎌倉時代より江戸時代に掛けて作られた1キロほどの洞窟がある。修禅道場だそうで中には浮き彫りに
された多くの菩薩や曼荼羅図などが洞窟内の修禅場(少し広い円形の場所)ごとに燭を点されて浮かんで
いた。
洞窟内は撮影禁止とのことで、カメラに納めることは適わなかったが小さな歩けばすぐに消えてしまう
手燭を持っての吟行は厳粛な気持ちになった。
一句目は大船観音の姿である。
秋日濃し目の切れ長な露座仏
12年伊吹嶺12月号遠峰集収載
露けしや行者の洞の仏たち
秋の風地底伽藍の燭揺らす
洞奥に潰えし道よそぞろ寒
しばらく闇に慣れた目に秋の日とひよどり花や萩を初め秋草が眩しかった。
この後、大きな団体が洞窟に入ったが、あれでは情緒も何もないのではないかと心配になった。同時に
静かな中で拝観出来たことに感謝であった。
秋寂ぶや闇空間の曼荼羅図
身に入むや洞の高みに鑿の跡
12年伊吹嶺12月号遠峰集収載
洞出でて胸に吸ひこむ萩の風
12年伊吹嶺12月号遠峰集収載
秋の蝶ひよどり花ととも吹かれ
陶工房
定泉寺の手前、停留所の山側に小さな陶芸屋があった。
大きな壺から、箸置きなどの小物まで芸術品としての陶器を作っているようだ。それだけではやって行けないから
教室や小物も扱っているのだろう。
本日は休業とのことで火も入っていなかったが、赤い渋団扇が存在感を強めていた。
秋旱葉裏に光る蝉の殻
洋種山牛蒡熟れをり窯場裏
休業の陶工房に渋団扇
12年伊吹嶺12月号遠峰集収載
残暑なほ電車遅延のアナウンス
12年伊吹嶺12月号遠峰集収載