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江の島(神奈川県)



ふじやまのゆきねやしるしはるのうみ

富士山の雪嶺や著し春の海



江の島

はつくかいながれのはやきしまのくも  月に一度、吟行句会を開く超結社の連衆と一泊の俳句漬けの鍛錬会をやろうと言うことになった。
 ならば、江の島のかながわ女性センターが安くて良かろうとなった。
 朝10時に片瀬江ノ島集合、2時から句会。都合で日帰りの仲間を見送り、没日を鑑賞して、風呂 と夕食を摂った。
 今回は飲酒もそこそこに、まずは俳聖歌留多。芭蕉、蕪村、一茶に子規だったか?上5で中7下5を捕るのだが意外とすぐには 頭の回転が追いつかない。俳句ボクシング、袋回し、俳句数え歌と吟行句会では習得出来ない、数々の 鍛錬を面白可笑しく、夜遅くまで楽しませてもらった。
しんぼくのにゅうこんしるきかれきかな

   初句会流れの迅き島の雲

   神木の乳根著き枯木かな

   竜神の社の裏手虎落笛

ふゆなみのおとのぼりくるみさきやま

   寒の水一遍堀ると言ひし井戸

   木枯らしや鳶吹かれ鳴く海の上
2008年俳誌「伊吹嶺」5月号伊吹集収載

   冬浪の音登り来る岬山
かんのみずいっぺんほるといいしいど  青銅の鳥居を潜り、土産物屋を冷やかしつつ、江島神社に向かう。江島神社は海の守護神である 弁天様を祀ってあるのだが、龍も沢山祀られていた。この辺りが風も強く、冬の江の島であった。
 私は少し腹も痛かったのでエスカーに乗り頂上を目指した。
 頂上まで来ると、風も止み、亀が丘広場からは大島が間近に見えて感激であった。この辺、 藪椿も多く咲き、大島は光の海に浮いていた。
 一遍上人が島人のために探し当てたと言う井戸は今も水をたたえていた。
 ここから、芭蕉の句碑などがある、稚児ヶ淵へと下った。
 余談ではあるが、明治時代の江の島は江の島俳壇があり、隆盛を極めたそうである。そんなわけで 句碑はずいぶんと多く見られた。


   たたなづく波の光や春近し

   藪椿の葉は花よりも艶やかに

   渦巻いて冬浪哮る稚児ヶ淵

のりのすをいわにたてほすぎょふのつま

   寒海苔を刮ぐ漢に波しぶき
2008年俳誌「伊吹嶺」5月号伊吹集収載

   海苔の簀を岩に立て干す漁夫の妻

   鳶の舞ふ空の青さや枯尾花

とんびまだまいおりくらきかんのはと

   浪騒ぐ寒灯台や日沈む

   鳶まだ舞ひをり暗き寒の波止

   日沈む金波となりし冬の海



ひいしずむきんぱとなりしふゆのうみ


 近いとはいえ、残照の海や夕闇せまる波止を見るチャンスは海辺に家でも持たぬ限りめったに 見られるものではない。
 これも貴重な体験であった。
 翌日は鎌倉。新年の鶴岡八幡と寒牡丹。銭洗弁天と佐助稲荷を吟行することとして、各々の部屋 に別れた。
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