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鎌倉散歩 冬(神奈川県)

かんばれのぼたんかささしみのかぶる

寒晴の牡丹傘差し蓑被る

てんいちょうなのかんぼたんふるえおり  鶴岡八幡宮は初詣が終わり、追儺会までの狭間で寒牡丹園があるものの、閑散としていた。
 本殿の欄干には栗鼠が顔を出し、売店の巫女さんは白装束緋袴を寒そうに震わせていた。
 寒牡丹は毎年上野で見ていたが、株数は少ないかも知れないが、趣向を凝らして配置してあり、 十分に楽しめた。何よりも上野より空いていてのんびり見られるのが良い。
 寿福寺に行こうと北鎌倉方面に向かう。
 北条政子や虚子のやぐらと言われる崖に掘った墓を見学、笹鳴きを聞きつつ、源氏山に向かった。
ささなきやまさこのはかのゆうづけり

   欄干に栗鼠貌を出す女正月

   護符売りの巫女の緋袴春近し

2008年俳誌「伊吹嶺」5月号伊吹集収載句
   ぼうたんの園の片隅はこべの芽
きょしとだけほられしはかやしだあおむ

   天衣てふ名の寒牡丹震へをり

   笹鳴や政子の墓の夕づけり

   虚子とだけ彫られし墓や歯朶青む

くびづかとめいあるしるべくさもゆる  源氏山には化粧坂からが北鎌倉からのコースと思っていたら、寿福寺の横からも登れると言う。 すでに先頭は登り始めてしまったと言うので嫌も応もなくなった。
 銭洗弁天までタクシーの予定が良い運動をしてしまった。
 でもお陰で、途中に太田道灌の首塚なる遺跡に巡り会う。でも道灌は秦野だか厚木だかあの辺で 討ち取られた筈だから少しおかしい。
 道灌屋敷は寿福寺の近くの英勝寺であったと言うから、首はともかく遺髪くらいは埋まっていそう であった。
ここから銭洗い弁天、佐助稲荷を参詣して稲荷のそばの喫茶店をお借りして句会をした。
だいかんのほらにあせたるせんばづる

   首塚と銘ある標草萌ゆる

   大寒の洞に褪せたる千羽鶴

   お稲荷の社に煙る焚火かな



 鎌倉駅に冬の灯しが入る頃、本年初の俳句鍛錬会は終わりを告げた。
 まだ余韻の残る顔、顔、顔であったが、ここで解散。帰途に着いたのであった。
[了]
吟行2008,1,18
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