高尾山

小判の写真は写真の上でクリックすれば大きくなります。
戻るボタンで元に戻ります。
 

秋色や天狗の御山法螺響く 光晴


 今年の夏はとにかく暑い。またまた暑さを逃れて高尾山に行った。仕事を持てぬ暇な老人には、自然のなかにとけ込むのが なんとも嬉しいこととなった。
 そんなわけで句友の誘いに喜んで出かけた。
 高尾山は標高599メートルの山であるが、動植物は古くから保護されており、原生林も残っている。新宿から 1時間程度で行けて、自然を満喫するには結構良いところだ。
 ケーブルカーを使わずに登山をすれば、1時間半ほど掛かるらしいが、ケーブルを利用すれば終点駅から40分ぐらいで 山頂に到達する。
 このケーブルカーは日本一のものがある。最大斜度がそれであり、あの斜めの椅子に座っていても十分に感じられる 斜度であり、31°18′あるそうだ。
 中間地点までもけっこうな斜度であるが、ここから一段ときつくなり、終点駅の少し手前が最大斜度となっている。

 終点駅から山頂までも幾つかのルートがあるようだが、高尾山薬王院の参道を上ることとした。
 参道の両側は大きな杉が多い。このたこ杉もその一つである。ものすごい根であり、どこから見ても大蛸のように 見えた。また途中山毛欅(ぶな)の大木の根元には立派なブナシメジが生えていた。
 花の少ない時期ではあるが途中、玉紫陽花(たまあじさい)や草れんげともいわれる 蓮華升麻(れんげしょうま)など 見ることができた。
   夜にはむささびなども見られるようであるが、この日は松蝉中心の蝉時雨が降り注ぐ中を散策できた。
 昼食を取る薬王院は真言宗智山派の大本山で「高尾山薬王院有喜寺」が正式名称。1200年(奈良時代)ほど前に 薬師如来を安置して開山されたそうである。現在は飯縄大権現がご本尊だそうで、本堂を飯縄権現堂という。
 ここはまた修験道の寺でもあり、山岳天狗信仰とも重なって天狗像も大変多い。
大天狗の石像  トップの山門は権現堂から見たところであるが、普通四天王像がある場所に左小天狗右大天狗が守り神として置かれて いた。さらに堂の左右にも石像の天狗が睨みをきかせていた。  小学校の頃の遠足で来て以来の高尾山であったが、宿坊で食べた精進料理の美味さと言い、山からの景観と言い、大人 も十分に満足できる吟行地である。秋の紅葉も素晴らしいとのこと、また足を運びたい地であった。

 蝉時雨そそぐ御堂や大天狗
 白日に天狗の像の鼻灼くる
 磴涼し天狗の山の草れんげ  光晴



参考
高尾山までは新宿から京王線・高尾山口 特急で47分が便利。
ケーブルカー付きの往復割引券があるそうだ。
薬王院での精進料理は予約が必要。1500円から。  TEL 0426−61−1115


高尾山  完
(2004,08)


 頭へ戻る

 吟行地の目次へ

 ムーさんの図書室へ戻る

 トップページへ戻る