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秋の二



枯れてなほ風船かづら爆ぜもせず

合同句集「欅」収載

まったく枯れ色になっている風船蔓を見ていた。 枯れたって風船蔓はそれらしさを失うことなく、精一杯ふくらんでいた。自己を主張していた。
大富士の裾野日暮れて雁の列

平成17年「伊吹嶺」新年俳句大会 牧野一古さんによる特選

新幹線の窓からの句である。雄大な富士、農作業を終えようとする人、ふと空を見ると雁がくの字に飛んでいた。 一人旅であったが、涙が出るような感動を覚えた。
鬼やんま膝の高さを掠めたり


千葉県のふるさと房総村に行った。木陰道から小高い丘の畑に出たとき、スーと鬼やんまが飛んできた。
私の横をかすめた。あたかも、おまえはもう大人なんだから俺を捕らえたりしないだろ、と言わんばかりに。
「伊吹嶺」伊吹集11月号収載句。
夕鐘に寺の紅葉の散りいそぐ


俳句をやり始めてから毎年どこかの紅葉を見に行くようになった。この句は大山(神奈川県)の景であるが、寺のからんだ 紅葉は特に印象に残るようだ。美しいものほど儚く、人生の軌跡にも通じる気もする。



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