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世田谷ボロ市



威勢良き茶髪の香具師(やし)や冬ぬくし

2010年4月号伊吹嶺「遠峰集」収載


 世田谷ボロ市は毎年12月15,16日と1月の15,16日に開かれる無形文化財に指定されている 露店である。
 このボロ市は天正6年(1578年)に小田原城主北条氏政がこの地に楽市を開いたのが始まりで、今でも 農機具や臼、杵、仏壇屋や神棚、社など、端切れや古物など兎に角ありとあらゆるものが並べられて いて見て歩くだけでも面白い。今年は何とエコ住宅まで店を出していた。
 場所は世田谷線(私が子供のころは玉電と言っていた)の世田谷駅と上町駅の間であり、中心には 代官所がある。
 大場さんと言う家で私も小学生の頃よくお話を聞きに伺ったものである。この日も小学生を引率 した女教師にあったが、ぜひ小学生の内に、歴史の楽しさをこのような伝統行事を利用して教えて 行って欲しいものだ。



   饅頭のおまけ貰ひて冬晴るる


   舌を出すペコちやん人形ボロの市




   ボロ市や女教師の過ぎりけり


   売り人の早口口上十二月




   小枝付け飯桐の実を囃し売る


   ボロ市や電化住宅売られをり




   ボロ市に神社扉を閉ざしをり


   ボロ市ににたり顔して独楽を買ふ




   代官所の灯にたじろぎし雪ばんば


    お白州の跡の玉石落葉積む

[了]
吟行2009,12,15

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