富岡八幡の祇園舟

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  満ち潮の寄する浜辺や祭果つ

富岡八幡の祇園舟

 富岡八幡は約800年前の建久二年(1191)に 源頼朝が西宮の恵比寿様をお祀りしたのが始めで、 安貞元年(1227)には八幡大神を併せ祀り、八幡宮としたと縁起にある。
 また、応長(1311)には大津波があり、部落を守った事から『波除八幡(なみよけはちまん)』とも 称ばれ、水掛祭で有名な 深川富岡八幡宮へ分霊されたそうだ。
 今では深川の富岡八幡の方がよほど有名であるが、こちらの神事もなかなかの物であり、今後とも保存すべき 祭と思った。昔は今の浜が東京湾に晒されて居たわけだが、現在は運河で繋がれた池のようになっており、 周りは団地に囲まれているのが残念である。
 それでも本殿から始まり、五丁艪の艀で祓草を流して一目散に逃げ帰ってくる光景は見て飽かない。
 本格的船頭の肝煎りが、若衆の艪の使い方を心配して頭から湯気を立てて怒っていたのも御愛嬌であった。
 また、本殿の外観は2009年に近くの川合玉堂の旧居を訪ねた48、を 見て頂きたい。
 なおこの祇園舟の神事は当初からの歴史有る夏越しの祭で、横浜市の無形文化財第一号に指定されている。
 

   浜風に幟はためく磴涼し

   町ごとの祭法被の気勢かな

   こけら葺く社の鋲に夏暁の日



   警蹕の声轟くや堂涼し

   神饌の苦瓜の青際立てり

   高窓に差し入る朝日祭笛



   涼風や神殿の御簾巻き上ぐる

   日を弾く禰宜の木靴や夏祓

11年伊吹嶺誌遠峰集11月号収載
   浜風や幣のはためく茅の輪舟


   立ち雲や精霊舟に浄め酒
11年伊吹嶺誌遠峰集11月号収載
   夏蝶や鎮守の空に雲あらず

   引潮の浜に結界蟹の穴



   肝煎の禿に炎帝容赦なし

   祓草積みし小舟や艪を急ぐ

   五丁艪の勢で戻る祭舟



吟行2011,7,17


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