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平林寺の冬紅葉(埼玉県新座市)

やどりぎのまるきがおおきふゆのそら

宿り木の円きが大き冬の空



 平林寺の紅葉は、北小金の本土寺と並んで有名である。
 今回やっと訪問することが出来た。紅葉には少し遅く、吟行としては冬紅葉を選んで詠む景が多かったが、なかなか 立派な紅葉寺ではあった。
 平林寺は600年ほど前に岩槻に創建され、その後、智恵伊豆と呼ばれた松平伊豆の守綱吉により、この新座に移築 された臨済宗の古刹である。
 この地は野火止と呼ばれ、今でも武蔵野の雑木林が茂り境内全体が天然記念物となっている。
 今では堀跡ばかりとなっているが、玉川上水から生活用水として引いた用水や野火止塚の他に、綱吉初め累代の川越 城主の墓や、耳庵と呼ばれた電力王の松永安左ヱ門の墓などもあり、見るべきものも多かった。
 紅葉の写真が中心となるが、墓は耳庵の物と、智恵伊豆の2つを入れておく。



   朱の剥げし仁王の肋冬紅葉


   寒空へ大寺の杉聳え立つ
10年伊吹嶺2月号遠峰集収載句

しゅのはげしにおうのあばらふゆもみじ


   冬めくや木洩れ日揺るる露座仏


   鐘の音や炊煙上ぐる紅葉寺

かねのねやすいえんあぐるもみじでら


   夕紅葉鐘撞く僧に散り継げり
10年伊吹嶺2月号遠峰集収載句

   野火止の用水跡や落葉積む
10年伊吹嶺2月号遠峰集収載句

こぶりなるじあんのぼせきこのみおつ


   小ぶりなる耳庵の墓石木の実落つ


   暗がりに雪蛍舞ふ墓処




   知恵伊豆の墓所へ黄落限りもなや


   累代の城主の廟や木の葉散る
10年伊吹嶺2月号遠峰集収載句

ちえいずのぼしょへこうらくきりもなや

[了]
吟行2009,11,23


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