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淨慶寺の彼岸花

てらみちのなぞへまったしひがんばな

山腹の寺へ列なる曼珠沙華

2008伊吹嶺1月号「伊吹集」収載

淨慶寺

 柿生の淨慶寺は紫陽花で有名なお寺 である。もう一つ大変ユニークな羅漢さんが沢山置かれているのも楽しいお寺さんだ。
 その上に秋は彼岸花も楽しめると聞いて、早速句友を誘い込んで愛車を走らせた。
 朝のうちは秋雨がぱらつく情況であったが、秋の濃い日差しも出て彼岸花の観賞日和となった。
 その他にも秋の七草を中心に、紫式部白式部ペンタス などがあり、近いうちに花のお寺としても有名になりそうだ。十月桜 も咲いていた。


   秋高し羅漢の前のアルミ銭

   青ふくべ羅漢の酒を酌み交す

   木洩れ日や燃えに遅速の曼珠沙華



   泰山木の実の殻太し躓きぬ

   堂裏のなぞへになだる曼珠沙華

   ひともとの十月桜あはあはし

寺家ふるさと村

 淨慶寺から車で十二,三分のところに寺家(じげ)ふるさと村がある。三方を丘陵に囲まれた谷戸 で、ほとんどが手作業により、稲作が行われている。  農薬も制限されているようで、溝には川蜷や泥鰌、オイカワなどがいる。六月には蛍も自然発生 するようだが、これは余程運が良いか、連日懲りずに日参する必要がありそうで、毎年ぶらりと 行ってみるが、未だお目に掛かれていない。
 しかし、田圃を中心とした農村風景は一年を通して素晴らしく、日本の原風景の一つを見せてくれる。
溝蕎麦藪豆の 花が見られた。
 右は淨慶寺の山でみた、泰山木の実。尾長か鵯が落としたものだろう。


   夕日中稲架影長し谷戸の道

   父母逝きし日の遠くなり曼珠沙華

   空晴れて柿のいろづく夕べかな



 谷戸の夕暮れは懐かしくもありまた寂しくもある。
 特に刈田や稲架の立つ秋。限りなく自分を子供の頃に戻す作用があるようだ。
 未完成の句帳に記された断片は、そんな言葉ばかりであった。
 毎年稲架も少なく細ってきているように見えるの気のせいだろうか。
 いつまでも残って欲しい風景である。
[了]
吟行2007,09,27

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