駒場野公園と旧前田侯爵邸
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旧前田侯爵邸の車寄せ
駒場野公園
前回訪問したのも秋であったが、早くも5年も前となっていた。
同じ場所に同じ季節で、句を拾うことが出来るかと心配であったが、句材は不思議な物でじっと眺めていると以前とは
違った何かを与えてくれるものと少し安心した吟行であった。
また、新しい発見もあった。踏切近くの家は何となくあか抜けたと言うか粋な感じがすると表札を見れば、噺家のお家
であった。玄関にすすきを投げ込んだ大きな甕、僅かな土に木賊を植え、窓には秋簾。江戸の小粋な仕舞屋の風情があった。
駒場野公園横の大学の実験田。以前と同じように世相を映した多くの案山子がまだ立っていた。
近くの幼稚園児が涸池で遊び、落葉焚の懐かしい煙の香を嗅ぎながら歩く。
いつ見ても、何処で見ても十月桜は私には侘びしく感じられる。
侯爵邸に向かう道にはハロウインの南瓜が玄関前に置かれていた。
噺家の狭き玄関枯尾花
草枯れの野に園児等の声高し
破案山子群れて立つたる田圃際
涸池を秘密基地とす子の元気
竹箒熊手も総出落葉焚
遠望す十月桜咲き満ちて
ハロウインや外人邸に赤かぼちゃ
抜きん出し欅黄葉の降り止まず
旧前田侯爵邸
侯爵邸については、最初の前回のところをクリックしてもらいたい。
静かな佇まいは以前と同じであったが、以前の写真にある雪吊りの松は枯れたらしくすでに無い。
今回も休日ではないため、洋館の内部は見学出来なかったが、窓から覗くとお宅風俗のような赤や青の髪の毛のモデル
嬢達が撮影の最中であった。このためか、外から見る窓にはシャンデリアが点り、感じが出て素敵であった。
芝生庭園では近所の老人がオカリナで小学唱歌を次々に吹いていた。紅葉散り敷く中に弁当を広げて聞かせてもらった。
以前の句を見て直したいとも思ったが、写真上に焼き付けてしまっており、面倒で恥ずかしいがそのままだ。
今回は百万石の前田侯爵邸のお部屋を借りての句会が出来連衆も喜んで頂き、良い一日を過ごした。
冬灯出窓の横にガーゴイル
オカリナの小学唱歌冬紅葉
寒禽や百万石の屋敷跡