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築地魚市場



寒鰤を捌き汐の香広ごれり

2013年4月号伊吹嶺「遠峰集」収載

築地魚市場

 名古屋から句友が来たので魚河岸を案内することにした。
 この日は正月明け間もなくであったためか、糶は見学が出来ず九時以降の場内、場外の活気ある 市場風景を吟行するに止まったが美味しい鮨を食い、楽しい連衆と句会を持て楽しい一日であった。  魚市場も何度も来ているが不思議と詠みたくなるものがある場所だ。
 人間の営み、生き物を食べねばならぬ業などを感じるからかもしれない。


   日覆ひの間より冬日乾物屋

   魚市場鯛ぶち切りて松過ぐる

   松明や鰤も金目も神々し

   水桶の底黒々と寒蜆
2013年4月号伊吹嶺「遠峰集」収載

 現在のトロ箱はすべて発泡スチロールだ。建屋の外には幾つかの使用済みのトロ箱が山と積まれて いる。人間の食欲の旺盛さに驚くと同時に堆く積まれた発泡スチロールは大寒の日に真っ白く輝き 美しい。大きな山の方は重機が動き危険で近寄れなかった。


   用済みのトロ箱山と冬日受く

   大寒や(いを)の血抜きの水真つ赤

   活き九絵の上目使ひや底冷ゆる

   牡蠣の殻外し啜れり初の市

 市場には春の魚、鰆も良い形の物が売られていた。春はそこまで来ている。
 近くの波除神社の玉子塚は、頭に注連が巻かれていた。こちらはまだ大寒を主張していた。


   大寒や市場の棚に大鰆

   大寒の注連巻かれをり玉子塚
2013年4月号伊吹嶺「遠峰集」収載




吟行2013,01,17


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