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鎌倉の道 冬

しもじめるしゅくぼうののきそりふかし

霜湿る宿坊の簷反り深し


建長寺

 昨年の12月、鎌倉に行った。特に吟行目的ではなかったため、このとおりに歩くのは少々もったいないかも。
 今後も度々訪れるとは思って載せていなかったが、先日長谷に吟行したついでにアップすることにした。
 コースとしては、北鎌倉から鎌倉駅方面に向かうものである。ただし虫食い状態で進んでいる。
 最初は鎌倉五山第一位の建長寺に向かう。
 七堂伽藍の揃った大きな寺である。1253年に北条時頼が建立した、日本最初の禅寺だそうだ。
 14,5世紀に何度も火災にあったが、江戸時代に沢庵和尚の進言で再興された。
 三門は空門・無相門・無願門の三境地を経て仏国土に至る門で三解脱門(さんげだつもん)の略である。高さ30b だそうだ。
 この草葺き屋根は、境内から見たものだが、寺のものか、近隣の農家なのかはっきりしなかった。旧い鎌倉の景として 目に焼き付いた。



   三門の空の高さに大枯木


   廃れ屋の藁の湿りや冬紅葉

寿福寺

 建長寺から横須賀線北鎌倉と鎌倉の中間ぐらいの線路を渡ったところに、寿福寺がある。
 鎌倉五山第三位の寺で、北条政子が頼朝の菩提を弔うため建立した。
 門から塀まで、お稲荷さんのように赤いお寺である。
 中にはいると意外と質素な本堂があり、落ち着いた雰囲気がある。
 北条政子の墓、第三代将軍源実朝の墓、近年には、高浜虚子、大仏次郎の墓がある。また、ビャクシンの木は天然記念物。
 寿福寺のすぐ近くに、鎌倉唯一の尼寺、英勝寺がある。太田道灌も住んだことがある場所のようで、格式の高い寺だ そうだが、この日は拝観が出来なかった。
 この後鶴ヶ丘八幡の脇にあるテレビにも出たという蕎麦屋で食事したが、蕎麦はそれほどでもなかった。



   朱の塀の寺に政子の墓寒し


   祖師堂のほとり一叢冬紅葉

妙本寺

 妙本寺は禅宗の寺が多い鎌倉では珍しい日蓮宗の寺である。
 比企大学三郎能本が日蓮上人のためと比企一族の霊を弔う為に建立したお寺だそうだ。
 比企一族は二代将軍・源頼家の妻の若狭局をの実家であるが、権勢を握っていた、北条政子らに滅ぼされた。
 妙本寺はもともと比企の館跡で若狭局を祀る蛇苦止堂・鎌倉幕府第四代将軍・藤原頼経の妻・竹御所の墓などがある。
 日蓮聖人を祀る祖師堂の横に冬紅葉が靡いているのが印象的であった。
 ここから鎌倉駅はすぐ、五分もかからない場所だ。
 それぞれ時間を掛けてゆっくりと吟行したい寺であった。
[了]
吟行2005,12,19

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