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北鎌倉の寺(神奈川県)

いわたばこあおむまがいのいしぼとけ

崩れ初む矢倉に被る岩たばこ

座禅会

 北鎌倉の円覚寺の塔頭の一つである松嶺院で座禅会があると、句友に誘われた。
 学生時代に一度、鶴見の総持寺で経験して何となく良いものだと思い、また参禅したいと思いつつ 定年まで迎え、現在に至っているわけだが縁があったことに感謝して、同行させてもらった。
 この日も前日の酒が若干残り気味であったが、鎌倉も久しぶりなので近くの梅のあるお寺さんを 二カ所ほど回って昼食後に老師の洞山三頓の講話を拝聴し座禅をほんの少しであったが組ませて頂 き、心をすっきりさせて帰ることが出来た。

浄智寺

うららかやほていのはらのくろびかり  浄智寺は北鎌倉から銭洗い弁天に抜ける、化粧坂(けはいざか)切通しの入口にある。
 臨済宗鎌倉五山第四位のお寺である。
 宝所在近の額のある外門を潜り石段を登ると、梅や水仙、三椏の渾然とした良い香りが鼻孔を うっとりとさせる。
 市指定記念物の大きな高野槇を見て裏手に回ると、切り立った崖がある。岩たばこの新芽が濃い 緑となって、あちこちに顔を出していた。
 写真はお墓の石柱であるが、この下の方は石仏がいっぱい並んでいた。さらに上を覗くと、数匹の 栗鼠がおり、猫が懸命に崖にへばりつきながら、これを狙っていた。
 お腹を撫でると御利益があるという布袋さんはお腹が黒光りしていた。

   浄智寺の細き回廊玉椿

   寺町の小さき駅舎や春ショール
2007年5月号伊吹嶺「伊吹集」収載

   のどけさや布袋の腹の脂染み

   春の日にふぐり曝せり陶狸

   

東慶寺

 東慶寺は北条時宗の妻貞山尼の創建になる寺で、明治の時代になるまでは女人救済の駆け込み寺で あった。
 明治以降は禅寺となったが、境内にはいると何となく、尼寺の風情を残している。  この寺の墓地には、北条関係とは別に、明治以降の文学関係の著名人の墓が多いことでも 知られている。
 哲学者の西田幾太郎、宗教学者の鈴木大拙、岩波書店創業の岩波。最近では高見順や日本歴史画の 大家、前田青邨などが並んでいる。
 また、寺に祀られている水月観音は、大変現世的な顔立ちの菩薩で清純な美しさは瞼から離れない。
 以前に拝顔させて頂いたが、予約を入れれば適うようである。
   赤椿散る鎌倉の切通し
2007年5月号伊吹嶺「山彦集」入選

   梅真白水月観音拝しけり

   三椏や駆込寺の勝手口

   啓蟄や駆込寺に土竜穴    

   写真は紅梅から金縷梅(まんさく)までは東慶寺である。岩たばこも東慶寺の有名な花であるが、 写真は浄智寺である。
 座禅会のあった松嶺院は牡丹や山野草で有名な寺であるが、現在は梅だけであった。
 この寺の墓地も見晴らしの良いところにあり、作家の開高健や映画の田中絹代、佐田啓二さらには オーム事件の犠牲者、坂本弁護士一家の墓もある。
 坂本弁護士の墓にはお線香を立てて、ご冥福をお祈りしてきた。
 次回の参禅会は4月にあるそうで、花も牡丹を初めいっぱい楽しめそうだ。円覚寺も次回ゆっくりと 参詣したい。


[この項終わり]
吟行2007,2,24
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