深川祭り

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はちまんのうらもまつりやせみしぐれ

八幡の裏にも屋台蝉時雨 


 門前仲町の深川祭りに行ってきた。
 深川祭りは、水かけ祭りとか水かけ神輿と呼ばれるそうで、江戸三大祭りの一つだそうだ。
 今年は3年に一度の本祭りだそうで、町内氏子の56基の神輿が総出となる、連合渡御。
 見物客も押し合いへし合いで、水被るまえに汗でずぶぬれと相成った。
 永代通りの其処此処には水がいっぱい用意されてた。
 立秋は過ぎたとはいえ、当日もむちゃくちゃに暑い日であった。歳時記には深川祭りは、ちゃんと 秋の季語として登録されている。そう思えば路地をたまに吹く風は秋を感じるようにも思うが、 夏の季語も使用せざろう得なかった。
 富岡八幡は1627年(寛永4年)、この辺を埋め立てて建立されたそうだ。
 そしてこの門前町をいろどったのが深川の辰巳芸者である。
 いまでこそ新木場に行ってしまったが、深川は木場でもあった。そこで歌われたのが木遣り歌である。
 そして、この芸者衆が写真のごとく手甲、脚絆で木遣を歌いながら御神輿を先導するのが手古舞なのだそうである。
 もちろん現在は芸者に扮した人なのだろうけれど。

 びしょ濡れの祭法被や藍匂ふ
05年「伊吹嶺」伊吹集11月号収載

 盛大な水遊びなり深川祭

 手古舞の木遣聞こえて桶忙し

 辻辻に水用意して神輿待つ

 後れ毛に水光らせし祭髪

 神輿渡御辰巳芸者の赤鼻緒

 秋日和手古舞の影ゆるゆると
05年「伊吹嶺」伊吹集11月号収載

 神輿来て祭囃子の音や急く
   参道に入ると両側は露店がびっしりと並んでいた。カメラを気にしながら飲み物を持っている人を避けつつ歩く。
 富岡八幡の境内はそれほどひろくはない。裏手の杜も高い木はあるが深くはない。それでも油蝉が焼き付くように 鳴いていた。
 境内には一の宮神輿、二の宮神輿が飾られている。日本で一番大きな神輿だそうである。ダイヤモンドも多く使われて いると書かれていた。
 こんな大きな神輿も街に練り出すことがあるのだろうか?近くに聞けそうな人はいなかった。
 横手の路に入ってみると、御神輿の練り歩いた後の静かな下町があった。  お神酒所ではお年寄りの世話役がちびちび酒を呑んでいた。無事な大祭を終えていい顔をしていた。
 放水の果てのなくして深川祭

 疲れ神輿終着点に来て止まる

 神輿過ぐ路地に朝顔萎れをり

 お神酒所の爺ちびちびと酒飲めり
 床見世を走り回れり祭の子

 ずぶ濡れて祭膳食ぶ友の家に

 川風に祭提灯揺れやまず

05年「伊吹嶺」伊吹集11月号収載

 本日撮った写真は100枚を越えた。手元の見えないところからサッと水を掛ける。同時にみな頭が出てくる。どう してもシャッターが遅れがちになる。
 いつも花などの動かないものを中心にカメラを構えているので大変勝手が違い難しかった。
 俳句もとにかく作ったが、推敲の余地が大きいと思う。
 しかし、早く深川祭の感動を読者に分かちたくアップを急いだ次第である。
 なお、深川祭を見ることが出来たのは門前仲町に住む、友人の平井さんのお陰であった。
 上記の句のように汗と水掛でずぶぬれでお宅に転がり込み、盛大なる祭膳で接待を受けてしまった。
 奥様にもご迷惑をお掛けしてしまったが、ここに改めて感謝を表したい。
[了]

吟行日2005,08,14




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