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佐原と鹿島神宮

みずきたるちょきにしだるるふゆやなぎ

水漬きたる猪牙舟に枝垂るる冬柳

古き街並み

ふゆびさすどぞうのしょしのうすきはり  佐原は千葉県の北東部に位置し、利根川を挟んで茨城県と接している。東京から70km圏、千葉市から50km圏にあり、成田空港から15km圏と言った処だ。
 ここの見所は、川越などと同じように江戸や明治の名残を留めた街並みにある。
 市内を流れる小野川沿や、香取神宮 に向かう香取街道沿いの町並みには、江戸時代の名残を留める昔ながらの建物が 多数残っていた。また、利根川水流を利用した水運の商業都市のため、小野川流域は水彩画の情緒を蓄えていた。
 今回の旅は吟行目的ではなかったため、ゆっくりと時間を掛けることが出来ず、伊能忠敬の生家なども行きそびれた場所 も多くある。
 日本橋川の都鳥に送られて、東関道をバスで佐原に向かった。冬日和の中、富士山や大観覧車が車窓を楽しませてくれた。
ごふくやのうごかぬとけいきもりゆず


   首都高の暗渠に浮かぶ都鳥

   夢の島の大煙突や冬日濃し

   冬晴れや骨組み細き観覧車

ごふくやのなみうつたたみふゆびこし  トップの写真は小野川沿いの醤油の醸造元で現在は佃煮屋の正上。すぐ下が正文堂書店だ。
 正上の建物は天保3年だそうで、160年修理もしていないらしい。本屋も土蔵造りで、隣が蕎麦屋その隣が 呉服屋で上と横の写真は店内である。歴史的な価値のある家ばかりで地震のないことを祈るばかりだ。
 当時としてはこれだけ間口の広い建築は大した物なのだそうだが、店のお婆さんは商売にはならないし、壊すわけにも ゆかないしと、嘆いていた。店内の資料など見物のお礼に綿の風呂敷を買わせて貰って次に回った。
 他にも写真はいろいろあるが、小野川沿いの商人宿を思わせる旅館と和紙、香料などを売る店を載せておく。
 川越ほど大造りには思えないが、忠敬橋を中心に四方に伸びる家並みはもっとじっくりと見たかった。



   冬日差す土蔵の書肆の薄き玻璃

   呉服屋の動かぬ時計木守柚

   呉服屋の波打つ畳冬日差




   木賃宿障子に柔き日の温み

   和紙店の格子に芙蓉の枯れし影

   柳枯る商人宿に藍暖簾

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