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武相荘 東京都町田市
藁屋根に寒九の雨の限もなし
09伊吹嶺誌5月「伊吹集」収載
数年前にもこの武相荘は訪れたことがある。当時は俳句も始めたばかりで、単なる大きな藁屋と展示されている陶器や
着物や手作り農具などとても俳句が作れるような心を持ち合わせていなかった。
今回は、俳句仲間との吟行句会でもあり、最近の白洲次郎、正子の流行人気で横浜そごう美術館の「白洲次郎と正子展」
を見たこともあってか、いくつかの句も詠むことが出来た。
朝は低気圧の通過で吟行を中止すべきかと考えるほどの風雨であったが、吟行を初めて10分もしないうちに雨風は
止み、昼食を摂る頃には晴れ間さえ出て、全天候を楽しめる吟行となった。
どうやら今年も吟行に関しては「晴れ男」を自認しても大丈夫なようである。
正子、次郎の境涯は確かに現代でも心引かれるものであり、ある部分は現代人がぜひとも心に留めるべき生き方では
あるが、そんな生活ですら金持ちでなければ無理だなーと感じてしまうのは、ひがみ根性と言うものであろうか。
凍て空に正子次郎を恋ひ慕ふ
紅梅の莟に光る寒の雨
村雨に竹林騒ぐ武相荘
雲厚き雑木林に寒鴉
09伊吹嶺誌5月「伊吹集」収載
水仙の震へる庭へ雨しとど
手作りの次郎の鍬や冬菫
鉄瓶の懸かる囲炉裏や竹戦ぐ
09伊吹嶺誌5月「伊吹集」収載
北窓の次郎の書斎切炬燵
黒ずんで歪む書棚や冬深し
藁屋根の軒にしづくや寒椿
白梅や葬式不要と遺言書
ダンディズム通せし次郎蕗の薹