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古書店の街 神保町(東京都千代田区)



古書街に昔都電や時雨くる
2009年伊吹嶺3月号「伊吹集」収載


古書街とカトリック神田教会

 我々の学生時代はまだこの神田神保町は古本屋の街であり、学生の街であり、アカデミックな香りのする街であった。
 交通機関は国電のお茶の水、水道橋少し歩いて神田駅。これを補っていつも大勢の乗客を乗せていたのが、都電 であった。
 我が家は学芸大学前にあったので、渋谷から須田町行の都電であり、確か10番の札を下げていた。
 大学に入ってからは地下鉄の丸ノ内線が開通。池袋ーお茶の水の頻度が高まった記憶がある。
 だからといって、学問のために古書街を歩き回ったのはほんの数回であったと思う。古書街の近くに散らばる、シャンソン やタンゴの喫茶店を見つけては、そこにたむろするのが大半の目的であった。
 そんな仲間の数人はすでに帰らぬ人となってしまった。今回の吟行は、彼らを思い出す縁ともなり、今年を締めくくる 素晴らしい道行きとなった。
 この吟行会で初めての雨となり、写真を思うように撮れなかったのが少し残念であった。
 また神田教会は、日本で最初に聖フランシスコ・ザビエルに捧げられた聖堂だそうで、登録有形文化財にも指定されて をり、見応えのある教会であった。



   山積の古書の匂ひや冬ぬくし
2009年伊吹嶺3月号「伊吹集」収載

   ワゴンセールの均一本や冬の雨
2009年伊吹嶺3月号「伊吹集」収載

   古書店に一書を求め悴めり



   煤逃げや古書街裏の喫茶店
2009年伊吹嶺3月号「伊吹集」収載

   芭蕉句集買うて帰るや街師走

   死に向かふザビエルの絵に室の花




   短日や子羊連れしイエス像

   司教座のワインレッドや降誕祭

   やはらかやに彩窓透す冬日差し



[了]
吟行2008,12,17

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