小田原・箱根
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春光や湖へ鳥居の朱を零す
'13年伊吹嶺誌6月号遠峰集収載句
小田原城址公園
小田原北条氏の難攻不落の城であったが、天正18年秀吉に落城を余儀なくされた。
私もこの城跡にある城内小学校に母方の里に疎開して通ったことがあるので、思い入れのある地である。
戦後もしばらくは天守閣も復元されずお濠と石垣のみの公園であったが、最近は城門や天守閣が復元され
昔から有る種々の巨木も見栄え良く、観光地として箱根と一体化している。
春空に天守の鯱の溶け込めり
'13年伊吹嶺誌6月号遠峰集収載句
天守よりかすみて丸き太平洋
右の写真は天守閣から見た一夜城方面である。右上は箱根の双子山。写真の左真ん中辺りの青草らしき
ところが一夜城があったところだ。今では崩れた大きな垣の石が転がるばかりだが、水陸15万の大群で
攻略し、ここ石垣城に城を築いた時には、小田原方には森林を伐採せずに、延べ4万人を動員して約80日間
で完成させた。出来上がってから一夜で目隠しをはずし、巨大な城を敵方に誇示したと言われ、世に一夜城と
して名高い。
吟行日は新緑が見事であり、山からの風に鬨の声を聞く思いであった。
一夜城在りし山より芽木の風
'13年伊吹嶺誌6月号遠峰集収載句
新樹影映す天守や白極む
城址には形の良い松を始め桜などの大木が多くある。多分城があった時からのものだろう。
その中で柏槙(ビャクシン)の大木が一際目についた。大松と共に小田原市の天然記念物に指定されていた。
樹高18b、周囲3,9bある。例年なら桜が咲いている時期だが、今年は早く城も山も新緑であった。
鱗立つびやくしんの幹風薫る
青空や桜大樹の蕊紅き
箱根成川美術館
成川美術館は元箱根、駅伝の折り返し点、関所の近くにある。平山郁夫、加山又造などの名画が楽しめる。テラスからの富士を
バックの芦ノ湖は絶景である。トップもこの写真も美術館の庭園からの景である。
さすがに箱根の山にはまだまだ山桜は残っており、夕日に映えていた。駅伝の路には山吹が枝垂れ咲き、趣を深めた。
また、この日は虚子の忌日でもあり、一句を捧げ駅伝の路を下って早川に出て、蒲鉾屋で土産を求めた後小田原から
小田急で帰途についた。
向き替ふる海賊船や風ひかる
東海道跨ぐ鳥居や春闌くる
以上二句'13年伊吹嶺誌6月号遠峰集収載句
夏間近スワンボートの長き首
'13年伊吹嶺誌7月号遠峰集収載句
駅伝の競ひし道や濃山吹
虚子の忌や夕日を浴ぶる山桜