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白川郷
私が最初に白川郷に来たのは20数年前のことである。
もちろん俳句がこれほど好きになるとも思わず、カメラも子供中心に、それも銀鉛カメラであったから整理も出来ずに
フィルムは引出の肥やしとなっている。
本当に別世界に来たような感覚を持った。最近では東海北陸自動車道がまだ一部開通していない時に来たのであるが、
その時はすでに観光地化して白川郷の端
の方を見て帰ったのであった。
その時に比べれば、朝であることもあり少しは人数は少なかったが土産物や民宿の看板がさらに増えてしまった印象が
拭えない。世界遺産にするのも考えものの気がした。
吊り橋や隠りの村の藤の花
夏山に雪の襞あり隠れ里
合掌家に電気メーター青蜥蜴
裏庭に小さき田圃や水を張る
奥飛騨や真近き空へ大雪渓
子燕の見られて親の近づかず
鐘楼も萱葺の屋根苔の花
09伊吹嶺誌8月「伊吹集」収載句
門川に虹鱒太る飛騨の宿
奥飛騨の水張る田毎小さきかな
最後の写真は長瀬家の内部。ご当人達が生活している家でもある。立派な大きな仏壇から、養蚕や畑仕事の一切の道具
などが天井桟敷いっぱいに収蔵されていた。
マッチの大箱や昔は何処の家にもあったがらくたが、ここでは重要な展示物だ。
たしかにじっと見ていると、子供の疎開時代を思い出させて郷愁を誘われた。しかし、我々以後の日本人がこれら
の物を見て、何を感じるのだろうか?
最近は環境だとかエコだとか盛んに言われるようになった。家の建て方にしても、生活にしても参考に出来ることが
いっぱいあるように思いつつ奥飛騨の開かれてしまった隠れ里を去った。