磴上る傘を鳴らせり冬嵐
雨しとど風鐸揺らす冬の雷
前回の訪問時は本殿
は漆の塗り替え中であったが、今回その全容を見ることが出来た。雨の中ではあったが、洗われたように
五彩が輝いていた。江戸初期の代表的建物として国宝である。
東照宮の五彩新たや冬の雨
放水銃の箱ひた濡らす冬の雨
磴道を滾りて落つる冬の雨
最上段の奥の院は家康の墓所、神廟である。本殿の煌びやかさとは対照的に霧もやの中に静けさを保って
いた。
滝のように流れる石段をやっと下りて入り口の社務所前に着く。万年青市と書かれた旗がしな垂れ、日覆い
の簾からは無きに等しく雨が注いでいた。
神廟の杉烟らせて冬の霧
万年青市雨に覆ひの秋簾