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作品           武藤宏樹

東禰李古(とねりこ) 昭和十八年五月発行
          第十九卷 第三号 五月号

  雲のたな引く極み空遠く日の御子しらすおほやしまぐに

  白墨の粉をはたきて日溜に吾が不斷着の洋服を干す

  國あげて戰ふ今のいかし世に二三の人ら轉職しゆく

 *注 光リ 他に編集後記あり。

作品           武藤宏樹

東禰李古(とねりこ) 昭和十八年七月発行
          第十九卷 第四号 七月号

  荒御魂くもゐをかけり空に海に自在遍滿あたの軍うつ

  一將功成り萬骨枯るの古諺をば覆し君そらに散華す

  現し身の骸を捨てて空に海にいゆきかけりてみ國を守る

  錦旗には弓弦きりて畏めと逆徒の父も子には掟てき

  押し寄する敵さか打つと古もそびらの橋を引きて挑みし

 *注 光リ 他に編集後記あり。
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