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  君が骨納めに來つるふるさとの濱邊に立ちてきく波の音

  いそがしき蟻のはたらきまもりをり
            君を埋めたる墓場(はかには)の土

  車窓よりスカイラインの山とほし
               君をはふりてふるさとを去る
  

たたかひの文化        武藤宏樹

         転載句 (經國七月号所載より抜粋)
  激情の愛國詩人キヨルネルを日露の役に啄木はうたふ

  最後まで戰ひし故に捕はると無邪気なるかな紅毛の俘虜

  西洋の歴史の意義を否定するこのみいくさのなかに吾いく

 *注光リ この号には、他に書評として、土屋文明の歌集「六月風」讀後小感。中井克比古・武藤宏樹共選の「昊天集」などがみられた。
 これらは割愛する。
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