写真は写真の上でクリックすれば大きくなります。
戻るボタンで元に戻ります。
お茶の水界隈(文京区)

まつあけのかんだみょうじんあっけらかん

松明けの神田明神あつけらかん

手打ち蕎麦まつや

 俳句会の新年会をやろうということになり、どうせなら、松明けの神田界隈でも歩いて、会場の西日暮里の仏蘭西料理 店「ミレイユ」に行こうとなった。
 集合は淡路町交差点の近くにある、手打ち蕎麦「まつや」である。
 東京の老舗蕎麦屋がだんだん美味しくなくなり、私なども最近では町田の「ときわ」とか学芸大前の「夢呆」とか、手打ち蕎麦 が喰いたくなると車で行動する始末である。
 その中にあって、「まつや」は明治17年の老舗であり、蕎麦も出し汁も美味しい店である。また、ここは池波正太郎 のお気に入りの店でもあったことで有名である。
 さらに須田町界隈は奇跡的に第2次大戦の空襲を免れた一帯で、このまつやを始め、鮟鱇鍋のいせ源など昔からの建物 で営業している老舗も多いところだ。萬世橋際の中央線の赤煉瓦のガードも懐かしい風景である。


   正月や真新の暖簾老舗蕎麦

   盆栽の雪吊の松老舗蕎麦

   バッジ屋に馴染みし社章松明くる

湯島聖堂から神田明神



   戦火(いくさび)の痕なきガード冬ぬくし

   聖堂に聳ゆる楷の枯木かな

   楷の木の影も楷書や初御空

   孔子像の枝揺さぶつて都鳥

 湯島聖堂は日本の学問所が最初に開設された場所。「昌平坂学問所(通称『昌平校』)」で名高いが、もともとは 5代将軍綱吉が儒学振興のために建てた廟堂だそうである。
 大きな孔子の像は世界最大だそうで、台北のライオンズ倶楽部から昭和50年に贈られたものだそうだ。
 また、右側の大枯木は楷(かい)の木とか孔子木と言われる木で、学名はトネリバハゼ。
 私は冬木の影を見て、これも楷書のように、曲がるところがきちんとしていると感じて、上の2句を詠んだが、葉が 2枚一対できちんとしていることに由来する名前だそうだ。
 神田明神は松の内も終わり、初詣の人はそこそこいるのだが、何かあっけらかんとしていた。
 次の5月の神田祭を思うから余計に感じるのだろう。
 さらに20分ほど歩くと、湯島天神に出る。さすがに湯島天神は露店も出て、恋神籤、試験絵馬で大賑わい。
 蝋梅の馥郁たる香りが有難く思えた。
   湯島は2月にも参詣する予定なので、ここは次の項に譲ることにした。
[了]
吟行2008,1,8
お茶の水界隈の頭へ
湯島天神へ
新新「私の吟行地」目次へ
新「俳句とカメラで綴るムーさんの歳時記」へ
俳句とカメラで綴るムーさんの歳時記(トップ)へ