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等々力渓谷(東京都世田谷区)



せせらぎの音沈めたり蝉時雨



 等々力渓谷は都内23区中唯一の渓谷で、大井町線の等々力駅近くのゴルフ橋の下の小さな流れである。
 樹木が覆い被り、夏でも2,3度は違うとのことだ。しかし最近は関東の各所と同じように棕櫚が多く 生えていて驚いた。完全に温暖化の影響だ。
 等々力不動尊の場所までのほんの1キロ程度のせせらぎの道であるが、途中横穴古墳や稚児大師堂、稲荷 堂、不動の瀧、茶屋、弁天堂など見るべき物もあり楽しめる。途中渓谷から少し足を伸ばせば、野毛大塚 古墳(帆立貝型前方後円墳)も見られる。5世紀前半のもので、円筒埴輪が周囲を巡らせている。
 多くの副葬品が発見されているが、それらはボロ市で有名な世田谷上町の代官屋敷に併設された「世田谷 区立郷土資料館」に展示されている。我々もボロ市吟行の折見学をした所だ。



   竹林の夏の日覆ふ渓の口


   棕櫚の葉に早瀬の夏日かげろへり    




   秋風や古墳に拾ふ欠け埴輪
11年伊吹嶺12月号遠峰集収載句


   土器片を拾ふ眼鏡に飛蝗来る    



   空蝉の木々に縋れり稚児大師


   涼しきと大樹に寄れば蝉の尿




   役行者打ちし滝とや水細し


   鉄分の浸み出すはけや蛍草




   麦とんぼ弁天池に尾を打てり


   一水に逆らふ姿勢水馬
11年伊吹嶺12月号遠峰集収載句




   露地仏祈る媼や蚊遣の香 


   堂奥に響く読経や夏の果
11年伊吹嶺12月号遠峰集収載句

[了]
吟行2011,08,13


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