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寝覚ノ床・妻籠宿・馬籠宿(長野県・岐阜県)





手打蕎麦暖簾代はりに柿さわす



寝覚ノ床

 棚田の側には庚申塚。豊作の柿が見えるが、人の姿は全くない。そんな車窓を見ているうちに うとうとしたようだ。たぶん塩尻インターを降りたのであろう。
 贄川、奈良井宿を通過して上松宿に入った。ゆっくりと歩きたい木曽古道ではあるが、コストパホーマンス 追求の旅ではしかたない。
 寝覚ノ床は上松にあった。名勝としては聞いていたが、浦島太郎が玉手箱を開けた場所とは知らなかった。
 たしか浦島は横浜か鶴見あたりの漁師で、その浜で何年か後に竜宮恋しさに開けたものと思っていた。
 関東で言えば長瀞のような渓谷美。ちょっと寝ぼけたような紅葉ではあったが、これからなのかも 知れない。
 下まで降りる時間はなかったが、堪能できる景色であった。


   村人の一人も見えず柿の秋

   トンネルを抜け絶壁の紅葉谷

   波騒ぐ寝覚の床に冬紅葉

妻籠・馬籠

 国道19号線は妻籠までほとんど中山道に沿っている。
 妻籠から馬籠までは間に馬籠峠があるが、歩いても2時間半程度しか離れていない。でも現在は 妻籠は長野県、馬籠は岐阜県と別れている。
 宿場の雰囲気は、おそらく昔もそれほどの違いはなかったであろう。
 現在は両宿とも街並み保存に努力して観光資源としているが街並み保全には妻籠宿の方が若干 勝っているように思えた。
 馬籠宿は島崎藤村に寄りかかっている気がした。
 トップの蕎麦屋の写真のおかしな光線はレンズが汚れていたわけではない。綿虫でも飛んでいた のかも知れない。
こうさつばのぞくたびとやゆきばんば


   雪ばんば旅人覗く高札場
2008伊吹嶺2月号「伊吹集」収載

   蔦もみぢ絡む妻籠の水車小屋

   大水車豆柿震へゐたりけり    

ほんじんのどまにひやさすあきのくれ

   本陣の土間に日矢差す秋の暮

   蓑虫や釣瓶井の水枯れてをり

   秋光や石置屋根の板反りし

あきふかしまやにまさらのうまわらじ

   秋深し馬屋に真新の馬草鞋

   さわさわと稲荷の幟柿の秋

   日溜りに綿蟲舞へり妻籠宿

ひだまりにわたむしまえりつまごじゅく   写真説明
 妻籠宿外れにある大きな水車。
 その近くにある高札場。
 脇本陣の土間。藤村「初恋」のゆふの嫁ぎ先だそうだ。
 木賃宿付属の馬屋。雪道などで馬に履かせたわらじ。
 枡形。敵の侵入を阻むためにわざと直角に曲げた坂道。馬籠にも同様な坂道がある。
   馬籠宿の道祖神。石垣に組み込まれているのは珍しい。
 藤村も滞在した、原一平の家。清水屋資料館として、藤村やその時代の資料が展示されている。
ふゆにいるつじにめおとのどうそしん

   冬に入る辻に夫婦の道祖神

   藤村の座りし炉辺や秋灯

上2句2008伊吹嶺2月号「伊吹集」収載

   家苞に求む妻籠の栗きんとん
とうそんのすわりしろべやあきともし  馬籠には藤村が晩年に住み、墓もある大磯と同様な墓もあるそうで、 見てみたいと思ったが時間がなかった。
 馬籠宿をさらに名古屋方面に向かった所には、芭蕉や子規の句碑などもあるようだ。
 上っ面を撫でるような観光旅行では、その地を理解した真の俳句は出来ないであろう。
 俳句の目線でカメラも撮ったつもりだが、今後吟行に行く方の参考になればと思う。  馬籠宿を去る頃には、雲が低くたれ込めて雪の木曽路を思わせる雰囲気も感じることが出来た。
 もちろん、帰りの車中では妻籠、馬籠の吟行句会を開いた。
 同上のツアーの方には変な一行と思われたかも知れないが、楽しい2日間であった。


[了]
吟行2007,11,05
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