房総の四季
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安房高家神社の包丁式
北風や身振り大仰包丁師
2016年伊吹嶺誌3月号掲載
十一月二十三日房総千倉の高家(たかべ)神社に包丁式があるというので参詣した。
高家神社は日本で唯一料理の神様「磐鹿六雁命(いわかむつかりのみこと)」を祀る神社だそうで、
毎年五月・十月・十一月に伝統文化である包丁式を伝えている。
ルーツは千百年あまりとのことであるが、よくもまあ、こんなパフォーマンスを考え出したものと
寒さに震えながら見ていた。
包丁式待つ懐手握りしめ
包丁師睨む薄刃や神無月
綿虫や腑分けのごとく包丁師
この日捌かれたのは、マナガツオであった。参観者からはその姿は見えないので、真上にカメラを
据えてビデオでその様子も見ることが出来た。
儀式は舞殿のような場所で行われ、その前には本殿で祝詞、巫女舞も行われた。どのような関係者
か解らぬが、民族衣装も着た人も含め外国人も多数参列していた。
藁葺きの社や今日の新嘗祭
巫女舞の鈴の軽やか銀杏散る
注連白き包丁塚の冴え冴えと
その地方地方に住んでみると、新しい発見があり面白い。料理の神様が居ることも、包丁式が
そんなに歴史あるものであり、その式次第の大袈裟ぶりに驚いてしまう。
新聞の地方版のようなブログになればとも思う。
包丁式境内に売る泥大根
湯気たつる酒饅頭を並び買ふ
抜きん出し銀杏黄葉や海と空
境内からは木々の上に青い外房の海が見えた。銀杏は黄色く輝き、その海に突き出すようで
あった。
坂饅頭を頬張り、農民の勤労を感謝して、土産に泥付き大根を買って帰った。