房総の四季
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潮来のあやめまつり
水郷の風むらさきに花菖蒲
18年伊吹嶺誌9月号遠峰集
潮来は常陸国であり、房総ではない。常州である。北利根川を挟んで南は佐原であり総の国と向かい合っている。
今回はその近くの香取神社にも足を運んだので、「房総の四季」の項に入れさせて貰った。
また、ここのあやめは厳密に言えば花菖蒲がほとんどであるが、祭の名前に従っておく。
佐原の加藤洲十二橋の水郷めぐりは女船頭さんがエンジン船で乗せてくれたが、こちらは手漕ぎの艪舟であった。
川風に睦み合ひたり花あやめ
18年伊吹嶺誌9月号遠峰集
橋蔭涼し園丁がとる昼餉
あやめ田に隣る睡蓮静けしや
八橋に独りたたずむ白日傘
18年伊吹嶺誌9月号遠峰集
この日は余興の嫁入り舟は運航されていなかったが、それでも結構観光の客は多かった。
そんな中で八橋に独り佇む女性が印象的であった。
露店で買ったドライトマトが大変美味しく、歩きながら食べ始めたら、なかなか止まらず、ほとんど食べてしまった。
夏雲や灼け染み多き船頭笠
18年伊吹嶺誌9月号遠峰集
行き交へば軋む艪音や夏柳
船頭の日焼けし顔の皺深し
苞に買ふドライトマトを歩き喰ひ
香取神宮
香取神宮は名前しか知らなかったが、私の住む上総一の宮に対して下総一の宮であり、明治以前は伊勢神宮、鹿島神宮に並び
神宮と呼べるのはこの三神宮だけであったとのことで参拝をさせて頂いた。
なるほど立派な神社で、参道も深く、本殿を始め素晴らしい建築群であった。
夏越しの準備で職人さんが幾つも茅の輪を作っていた。
また、要石というのがあり、地震を起こす大鯰を押さえているのだそうで、鹿島神宮の要石と凸凹で対になっているのだそうだ。
これで両神宮の要石を見たが、共に小さいので逆に驚きだ。兎に角地震は押さえて欲しいものだ。
石灯籠並ぶ参道大緑陰
香を放ち茅の輪作れり香取宮
茅の輪編む汗を首より滴らせ
薄暑光受けて鎮もる要石
吟行2018,06,05