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狸囃子の證誠寺

春光の木漏れ日躍る狸塚




 童謡の「証城寺の狸囃子」のお寺が木更津にあるとは知らなかった。
 野口雨情作詞中山晋平作曲の「証城寺」は大正14年に発表されたそうであるが、戦前戦後を通じて知らない人は 何処にもいないであろう。しかし、このお寺が実在し、なんと我が住まいの上総にあるとは驚きであった。
 このお寺、本名は「證誠寺」で上総房州には珍しい、浄土真宗本願寺派(お西)の寺院であった。
 一説によると、この辺りの日蓮宗のお寺と違い、声明がうるさかったので、それを狸囃子と言い合ったのではと 云うのだが、真相は不明である。
 木更津の駅からさほど遠くもない場所であるが、江戸の昔は山の中かも分からない。
 知らぬ人のない、證誠寺ではあるが、現在はそれほど大きな寺ではなく、本堂もこぢんまりとしたもので、狸塚や 陶の狸が沢山置いてなければ、変哲もないお寺に過ぎない。さらに御朱印は授受しないとあった。
きつちりと並ぶ寄せ墓木の芽風

囀りや石の乾きし無縁塚


春昼や陶の狸の目は空(うつ)ろ

雪柳まんまる腹の陶狸
初花や猫の伸びする證誠寺

花の寺木蔭薮陰陶狸

證誠寺の裏戸顔出す浮かれ猫

伊吹嶺遠峰集18年7月号収載

新緑や徳利提げて陶狸
吟行日2018年3月23日
          追補2023年3月
            この項了


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