秋 その四

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カリン、くわりん、唐梨、きぼけ、など。季語 秋。
黄色い実がなる頃、葉はなくなり、枝先に突き刺さったように少しでこぼこの、 堅い実ができる。香は良い。
杜鵑草(ほととぎす)、時鳥草、油点草。季語 秋。ユリ科。油点草は誤用だそうだ。
糠雨や寺磴に枝垂る杜鵑草
           光晴

横浜三渓園に沢山咲いていた。あまり目立つ花ではない。
岩沙参(いわしゃじん)キキョウ科。季語 沙参は秋。釣鐘人参の仲間で岩場に咲く。
高山の朝市で鳥兜と一緒に売っていた。
背高泡立草。季語 秋。帰化植物の代表格であり、花粉症にも関わるため嫌われ者であるが、群生した花は なかなか見応えがある。泡立とは、酒の醸造時の酵母の発酵による泡の様から来ているようだ。野分後の河原に風に あおられる背高泡立草は風にか、謂われない差別にか激しく抗議していた。

大風や背高泡立草激す
           光晴
柿、柿の秋、柿干すなど。季語 秋。栗やあけびなどと共に一言で秋を感じさせる果実だ。この辺は柿生とか 王禅寺(禅寺柿の発祥地)とか柿に纏わる地名が多い。農家には必ず柿の木もある土地だ。

鶏遊ぶ農の庭先柿の秋
           光晴
ゐのこづち、ふしだか。季語 秋。子供の頃、よく人にくっつけ合って遊んだ。カメラに撮って家に帰ったら、 やはりいつの間にか数個くっついていた。

晩学の手習ひ遅々とゐのこづち
           光晴
小紫、小式部。季語 秋。紫式部の実より少し小さいが実の数はずっと多い。

こむらさき触れなば落ちる気迫あり
           光晴
コスモス、秋桜。季語 秋。どんなに沢山咲いていても、寂しげな愁いを感じる花だ。

捨畑に背丈伸びきる秋桜  光リ
伊吹嶺 遠峰集19−1収載
孔雀草。キク科。季語 菊全般で秋なのだろう。小菊に分類か。色は白の他ピンク、紫などある。
集まって咲いている様はたしかに孔雀が尾羽を広げているようだ。孔雀草と言われる花は他に波斯菊(ハルシャギク) と夏のマリーゴールドがある。
水引草、水引の花。季語 秋。白花は銀水引と言う。タデ科。露地裏などでも見られる雑草だ。細かな花で疎らに 咲くからか、ちょっと寂しい花である。

水引や子らの巣立ちし家広し
           光晴




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