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大井川鉄道SLの旅(静岡県)





冠雪の富士の大きさ十月尽



寸又峡の紅葉狩

 元勤務していた会社の退職者の旅行が念に一度行われる。今回は静岡の寸又峡にSLに乗っての 紅葉狩りであった。
 まだ子供が小学生だった頃、せがまれて金谷迄は当時の最新車輌、金谷からSLに乗ったことが あったが、今回は新金谷まではバス。
 前回は子供連ればかりであったが、なんとプラットホームはじじばばで溢れていた。その上大半が ビデオでSL撮影をするものだから、頭を除けているうちにこんなに列車は近づいてしまった。
 千頭駅の楓は紅葉していたが、少し紅葉には早いということで、私を含めた数人は、旧交を温めることに 専念、酒席から一歩たりとも動かずに過ごしてしまった。
 写真も俳句も寸又峡と関係のないものとなってしまった。


   霧晴れて箱根八里をバスの旅

   密柑山眩しきほどの実りかな

   高速道の建設現場花すすき



   流木の散らばる川原雁渡る

   秋日和製紙工場の煙立つ

   捨畝に満開となる茶花かな



   枯れてなほ棘激しきや秋あざみ

   秋うらら車掌ハモニカ鳴らし来る

   SLの白き煙や秋の果

 厚木の辺りであったか、第二東名か圏央道かよく解らないがだいぶ建設が進んでいた。自然の 芒原はどんどんなくなって行く。足柄パーキングでは眼前に冠雪の富士が雲間より垣間見えた。
 次に休憩を取ったところはどこであったか、茶畑が広がっていた。整備されている畝のお茶は ほとんど花を付けていないが、畑隅の茶の木には花がいっぱい付いていた。茶摘みの木には花を 付かせない方が良いのかも知れない。そんな畑の傍に秋薊や背高泡立草が咲いていた。
 SLの車掌は正確には車掌の形をした、物売りであろう。孫へのお土産が良く売れていた。
 台風の影響か大井川には大きな流木があちこちに散見され、そんな空を雁が渡っていた。冬は すぐそばまで来ている。
 歴戦の企業戦士と久闊を叙し、酒を酌み交わし、帰途に着いた。


   トロッコの駅舎の裏の紅葉濃し

   久闊の定年組やぬくめ酒

   トンネルへ汽車の警笛冬めける

[了]
吟行2007,10,31
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