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長谷から腰越へ 早春
臘梅の香や山門を潜るとき
長谷寺
2010年5月に俳句結社「伊吹嶺」の鍛錬会を江の島で行うこととなり、吟行地を何処にする
か調査を行った。
どの位の時間が必要か、句材は十分に備わっているか?などを中心に鎌倉を歩き回ったが、今回で
この長谷寺を第1日目の吟行地と決めた。
大仏やこの日に訪れた腰越の満福寺なども候補に入れたが、俳句はじっくりと対象に向き合って
こそ、佳句も生まれるものであり、鎌倉と言えば大仏、あるいは鶴岡八幡となる観光地を少し
ずらした所にしてみた。
長谷から腰越の間には、以前紹介した成就院や、星井寺の虚空蔵菩薩、極楽寺など行くべき場所
があるが、いずれ紹介したい。
白蓮の冬芽輝く寺の空
残菊や空に獲物を狙ふ鳶
水掛地蔵柄杓に残る薄氷
一月尽香煙絶えぬ地蔵尊
満福寺
満福寺は腰越にあり、義経が頼朝に会うべく滞在した寺であり、有名な腰越状も下書きがこの寺
に残っている。写真は弁慶の手玉石だ。
寺としては質素であり、歴史的素養を組み込まないと俳句にはなりにくい場所だと思った。
下手をすれば、芭蕉以前の月並み俳句となってしまいそうだ。
また、山門の直ぐしたに江ノ電が走っているのも面白い風景である。
この辺から稲村ヶ崎に広がる浜が七里ヶ浜で、俳句を嗜む前はこの腰越港からも良く釣り船に
乗ったところである。
ついでだが、この寺の入り口側にある、「そば処川邉」は北海道母子里郷のそば粉を使用とのこ
とで、手打ちではないが、美味しいお蕎麦屋さんである。
笹鳴や江ノ電過ぐる満福寺
受付に見張りの猫や春近し
春近し七里ヶ浜に鳶の笛
[了]
吟行2010,01,11
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