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横浜 山手一月
教会の塔に昼月寒に入る
異人館
寒の入りの5日、11月に名古屋の連衆と吟行して、時間的にご案内が出来なかった見所を少し回ってきた。
またお出で頂ければご案内したいものである。
今回は旅と言うほどではないが一人旅、時間に制約されることもなく、桜木町の鉄道発祥のモニュメントを先ず見て、
バスで先日のエリスマン邸前に向かった。
鉄道発祥のモニュメントは蒸気汽罐車の鉄板を3枚合わせたようなものだが、初期の横浜駅の図などが書かれている。
ちょうど、ガード上に貨物列車が来たのでシャッターを切った。
左中央の青いのが石油タンク車だ。
モニュメントの天辺には大きな列車の音にも動ぜずに鳩が止まっていた。
大震災跡のの日本最初の煉瓦を焼いたと言う煉瓦屋敷跡には、銀杏の実が早くもそのまま煎れば美味しそうな形で
いっぱい転がっていた。
この前寄れなかった、エリスマン邸前のベーリック・ホールを先ず訪問。これはイギリス人の貿易商が建てたもので、
スペイン風の大きな洋館である。すべての寝室にバス・トイレが付く豪勢なものだ。穏やかな冬日が差し込み、古き良き
日に思いを馳せた。
駅発祥の碑の鳩御慶かな
異人館の遺構に落葉うずたかし
冬萌や異人館の遺構にも
冬ばらの飾るポーチや異人館
冬日差すテディベア居る子供部屋
バロックの流るるサロン日短か
罅走る異人の墓へ冬日差し
小寒や餌やる人に集ふ猫
大佛次郎記念館とフランス山
山手聖公会の教会の塔には薄月が真っ青な空の中に浮かんでエキゾチックであった。
外人墓地は入口は開放されていたが、猫好きのおっさんがリュックにいっぱいの餌を持ってきて与えていた。猫も
馴れたもので、どこからともなく集まり、瞬く間に15匹程度となった。
我が家の周りにも、野良猫(捨て猫も)が増えたり減ったりしているが、餌をやるのは良いが、これ以上増えたら
どうするのだろうと心配だ。横浜はこの港の見える丘公園の他にも山下公園、三渓園などむちゃくちゃに野良猫が多い
のだ。
この後、やはり猫好きで有名であった、大佛次郎の記念館に寄り、先日写真が撮れなかった、霧笛橋、林火句碑、
フランス山の井戸汲み風車の写真を撮って正月で賑わう中華街へと向かい、腹を満たして帰途に着いた。
猫人形飾る書斎や冬温し
日溜りの赤き葉牡丹艶増せり
2009伊吹嶺誌4月号「伊吹集」収載
霧笛橋冬の夕日に真向かへり
綿虫や橋に瞬く警告灯
側面へ冬の日明き林火句碑
冬晴の空へ旧式井戸風車(ふうしゃ)